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趣味は読書、「こころ」本編読了
2014年07月20日 19:10
丸山健二は確か「メッセージ」というエッセイの中で、ある種の文学が、「インテリが、勝手に作品の中で悶えている」というような事を書いている。
「こころ」は、先生の遺書による告白で終わる。主人公の父の容体がどうなったのかは、想像するしかない。
遺書を要約すれば、親友の恋する女性を先生と呼ばれる主人公が奪ってしまい、その結果親友は自殺する。その自殺の真相を、女性に隠したまま、先生は結婚するが、精神的には、解放されない。そして、先生は、主人公に告白して、自殺してしまう。
友情と恋愛、簡単に言えばそうだが、遺書の中で、先生は煩悶する。愛する女性を手に入れたのに、先生は幸福になれない。一生心に傷を負って生き続けなければならない。丸山健二のいう「悶えている」状態である。
しかし、ここにこの小説の醍醐味がある。
前に、武者小路実篤の「友情」を読んだが、煩悶の度合いは、漱石の方が上のように感じた。
文学は、人間を読むということでは、エンターテイメントよりも面白い。
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