遠距離通話

声はイメージを膨らませる。
彼女はいったいどんな女性なんだろう。
出会い系で知り合った女性が、イメージと違ったなんてことはよくある。
電話で話す毎に少しずつ親しくなれているような。お互いの名前を～さん付けで呼び合うのは、まだまだなのかとも思えるが。
私は彼女に好感をもっていた。とにかく誠実であった。あまりにも素直で、愚直とも言える。少しずつエッチな話をしてみても、悪ノリするわけでもなく、苦笑してさらりと受け流す。出会い系で出会える女性とは到底思えない、そんなタイプだろう。
携帯電話も今は本当に便利、多機能。出会い系でも大活躍の写メで、私は彼女に自分の写真を送るよう何度も頼んだ。その度にやんわり断られていたのだが、やっと根負けしたかのようにある夜に送ってきた。
何度も撮り直したベストショットは、昼間に職場のカウンターで撮ったものだった。大きな瞳にショートカット、少し首を傾げて微笑む画像は、私にとっては嬉しい誤算だったと言える。とにかく期待はしていなかった。かわいい。自分より5歳年上の女性の小さな小さな写真を見て、かわいいと思えるなんて驚きだ。
この日から私は、メル友→テル友をさらにステップアップさせようと心に決めた。
月末に電話料金の請求書が届いた。遠距離電話が安くなる通信会社の請求書だったが、2万5千円也。
何か対策を考えよう、もう一つ心に決めたことができたのだった。