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出会い

2006年09月07日 10:44

オトコが書き込んでも、返事は滅多にくることはない。出会い系サイトとはそういったもの。
私はその夜も何気なく、書き込んだ。
返事が来る。
名前の欄も年齢の欄も、うまく携帯電話のキー操作ができていないのか意味のない文字の羅列だった。
彼女は後に言う。
「うわぁ~、返事来たよ…」
初めてのメールのやり取りのときの話をしたとき、彼女は言った。なぜに出会い系サイトで、オトコに書き込みにレスをつけたか、あの時はどうかしていたと。彼女は真顔で涙ぐんだ。
彼女はあまりにも純朴で、あまりにも世間を知らない。素直だが騙されやすい。真面目。しかし警戒心も強い。それはやり取りするメールからも沸々と感じられる。
敬語だらけの会話。ありきたりの話題。
「住んでいるところはどこですか?」
「(四国)県の●●市というところです。ご存知ですか?」
「●●で有名ですよね」
関東に住む人間から、まさか自分の住む土地の名物を挙げられるとは思っていなかったという。
私は学生の頃から一人旅が好きで、日本全国を旅した。もちろん四国も行ったことがある。あの時は本州四国を結ぶ橋はひとつもなく、連絡船が本州四国をつないでいた。私もその船上の人となった。
彼女の住む町は比較的規模が大きい。工業商業が発達し、典型的地方都市彼女はその町のある団地に住むという。
「仕事はしているんですか?」
「はい、しています」
「どんな仕事?オレは●●の営業をしています」
「わたしも●●で事務をしています」
あまりにも奇遇だった。私と彼女は言ってみれば同業だった。それからは仕事の話でメールのやり取りは続く。気がつけばベランダから見える空が白み始めていた。
「明日もメールしますね」
「はい、待ってます。おやすみなさい」

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