相撲

子どもの頃、叔父にサウナに連れていってもらったことがある。

初めての経験で少し大人になった気分だった。


意を決して一人でサウナ室に入ってみた。

室内は結構広く、中央を底にすり鉢状になっており、段々に座れるようになっている。


先客が一人。


向こう正面に座って、程なく先客が一般「市民」ではないことに気付いた。


飛び抜けて善良そうな顔。

カラフルなティーシャツさながらの



ペイントが施されている背中。


そう　大物芸能人を引退に追い込んだその筋の「市民」である。



汗ばむ場所で冷や汗を流してもしょうがない。

緊急退避を決断し、立ち上がろうとしたとき

善良な「市民」が話かけてきた。



「おい、坊主！どっから来たんだぁ？」


「はい・・・あのぉ・・・そのぉ・・・」



矢継ぎ早に繰り返される質問は退室を不可能にする。

何の汗なのかわからないが多量に流れ落ちる。

心なしか目尻にも汗が・・・・

会話に切れ目が出来、やっと「市民」から解放される思いきや

極めつけはこの一言だった。



「坊主！相撲とるか！！」



意味わからん(T_T)




拷問のような初サウナ体験。

血も涙も搾り取られた果てに悟ったことがある。




相撲とは


キビシイ国技だ！！