苦闘

何気なく額に手をやると微かな違和感が…

もう一度確認する。

ある！

やはりある。

確かにある！

間違いなくそれは存在している。



それは眉の間に生えた短い毛だ。


しかも微妙に太い。


しかし、短いので見て気になるような代物でもない。

だが、触ると容赦なく神経を逆撫でする逸品である。

はじめのうちは軽く触れて確認するのみだったが、いつしか抜く気になってしまった。

抜く気になるとこれがまた抜けそうで抜けない長さだ。

毛抜きでも使えばすぐ済む話ではあるが、そこまで大袈裟にはしたくない。


指先に全神経を集中して闘った。


抜けない…



いい加減抜けないので無視することにした。


だが…


少しするとまた抜こうとしている。

無視しようとすればするほど必死にその作業に没頭する自分がいる。


抜けない…

抜けない…

抜けない…




始まりを恥じるほど時間が過ぎた頃、私の指には短い毛と勝利が握りしめられていた。




しみじみ思った。




やればできる！