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正夢

2011年12月25日 11:05

学生の頃

 入学と同時に大学に行かなくなった俺

 いつの間にか入ることが目的となり

 大学での目標が見えなくなったのだ


 夢 が描けなかった


 当時は学生寮に住んでおり、遊ぶ相手には事欠かない

 バイトマージャン、夜毎繰り広げられる酒盛りで

 生活は忙しく充実していた


 だが、大学にいかないと大きな問題が発生する

 それは単位が取れないことだ


 大半の講義は試験のみでクリアーできるのだが

 語学だけはそうはいかない

 出席日数が足りないと容赦なく落第となってしまう



 ある日のこと


 俺はいつものごとくマージャン部屋にいた

  「ポ~ン!ロ~~ン! 絶 好 調ぉぉぉ~ ふひいひw」

 時計シンデレラタイム(午前零時)を過ぎた頃

 そばで見ていた まるちゃん (体型から名づけた)が

  「そろそろ寝るか・・・明日も朝から講義だし・・・」


 まるちゃんは、俺と同じ講義を受けており

 よく代返(代わりに出席の返事をすること)を頼んでいた


 いつも頼んでばかりで悪いので

 調子に乗っていた俺は

 「明日は徹夜してでも行くから大丈夫だよ~んw」

 と言い切ってしまった


 まるちゃんは部屋に帰り

 俺はマージャンに集中し終わった頃には

 夜が明けていた


 「おし!まだ時間はあるちょいと仮眠だw」

 いつも後で悔やむ甘い判断

 俺はすぐに爆睡モードに突入した


 「じりりりりりりりりりん!!!」

 目覚ましがなった


 ううううっ 

 起きなければ・・・


 ううううっ

 んがぁぁぁ


 ううううぅぅ

 ん?うぅぅぅぅぅぅぅ

 ベッドの上でもがき苦しむ俺


 するとそこへ


 トン、トン、トン


 がちゃり


 「おい!行かないと遅刻するぞ!」
 

 まるちゃんだぁぁぁ!


 俺はすかさず昨日の前言を翻し


 「た・・・たのむぅぅぅ代返してくれぇぇぇぇ・・・」


 寝ぼけた声で懇願する


 「・・・・わかったよ」

 まるちゃ~~~ん、ありがとう大好き!!


 んがががっがっががっがががが

 すっかり安心しきった俺は夕方まで

 黄泉の世界をさまよった


 夕方、すっきりした俺は食堂でめしをかき込んでいると

 まるちゃんが帰ってきた


 「まるちゃ~~~ん!今日はごめんね~ありがとうww」


 まるちゃんいわく 


 「・・・・ん?なんのこと?」



 あり?




 へ?




 え?



 

 まるちゃんと話してやっとわかったのだが

 まるちゃんは朝、俺の部屋には来ていなかったのだ


 俺は夢の中のまるちゃんに代返を頼み

 その夢に安心しきって爆睡していただけだった



 夢 見る俺は

 夢 に安堵して

 単位習得も 夢 に終わったのだった

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