三度

今朝は悲しいお話をしなければなりません。

一昨日より、私の中でなにかが変わった。

それは、今までになかった変調ともいえるものでした。


料理を作り、楽しいひと時を過ごし、ゆっくり眠り

一生懸命働き・・・・


でも、何かが違う。


心の奥底に、いやもっと下のあたりに

軽いわだかまりが・・・・


私は先ほど重大な決意も持って、扉を開けた。

そこは狭い窓もない限られた空間。


私は息を整え、その部屋の内部を睨み付け

意を決して踏み込んだ。


しかし、もはや私に立ったままの状態でいる心の余裕など

なかった。


真正面から向かうこともできず

背を向けうずくまる私。


腹のそこから心をさいなむ違和感と闘いながら、

私の口から出たのはかすかなうめき声でしかなかった。


「・・・・」


まるで、出港する船と見送る人をつなぐテープを

握るかのような感覚に陥りながら

私はしばし、静粛のときを過ごした。（注１）


かすかな沈黙


額に汗をし、震えるひざを握り締めながら

私は発する声を探しながら

頭の中はさめていた。


「・・・・（もう・・・・終わりだ）」


右手に握り締めたテープの端を勢いよく引き

私はこの別れの最終段階へと進んでいった。


ひとつの作業を終え、立ち上がった私は

もはや振り返ることもなく

別れのレバーを倒した。


（じゃぁぁぁぁぁぁ）


勢い良く水流に飲み込まれていく「あなた」

さようなら

二日も私と一緒だったのに・・・・



注１：トイレットペーパー