ハーバー博士お許し下さい。

ヤツをなんとかしなければならない。
時期的には遅きを失した感もあるがこのまま脅威を脅威として看過し続けるわけにはいかない。
たとえそれが非人道的な手段を用いたとしても、だ。

そんなわけで朝、出る前にアースレッドをセット。
水を入れた容器にアースレッド本体を据えると化学反応を起こしたような不気味な音が。
おそらくその後に煙が出て来るのだろうが、確認するまでの時間の余裕は無い。
戦果に大きな期待を抱きながらドアを閉めカギをかけ、外に。

外は昨日に引き続き残暑をすっ飛ばして秋の匂い。
今までうらめしく睨んできた太陽も日差しが穏やかなだけでこうも美しく映るとは。

風も肌に心地よく、ああ、毎年夏はこうならいいのに！

しかし今頃部屋はどうなっているのだろう。
煙が部屋から漏れてそれを火事だと思われて通報されたらどうしよう？
多少イヤな事を想像してしまったのだけど、まあ大丈夫。うん、きっと大丈夫だろう。

戻って玄関のカギを開けるとき、部屋に煙が充満した光景を想像して多少おののいてみたんだが、いざ開けるとなんて事の無いいつもの部屋。
ただちょっとやっぱり薬剤の匂いはしたのでとりあえず換気はしておく。

妙に肩すかしを食らった気分。
ホントに効果があるのかしら？

半信半疑で片付けながらふと玄関の方に目をやると仰向けになってるヤツがいた。
おお。
ちゃんと効果はあったんだ。
そして、...やっぱウチにいたんだ。ヤツは。

喜ぶべき事と悲しむべき事で心中複雑。
そしてヤツを亡骸を片付けないと思うとちょっと気が重い。

とりあえずPCでCivを立ち上げて現実逃避をしてみたんだが....やっぱ片付けないとダメ...だよね？
重い腰を上げてヤツと正体すると、なんと足がまだ動く。

うわ...生きてんじゃん。

仰向けになって足をばたばた蠢く様は正直キモい。
そして出来れば関わりたく無い。

どうしようかとしばし考えた後、おもむろにほうきを取り出し、玄関のドアを開ける。

そしてそのままヤツを玄関の外にシュゥゥゥーッ!!
超 ! エ キ サ イ テ ィ ン ! !

...ま、とりあえずこれでいいだろう。
蒸散型殺虫剤はちょっと面白かったし効果も確認出来たからまたやろうと思う。
ただ、益虫も一緒に排除してしまうかもしれないのがイヤだなあ。
ウチにいる子蜘蛛は大切にしていきたいのよ？もはや家族。