暁は覚えない。

チャイムの音で目を覚ます。
完全に不意をつかれた形だがこの家はそんなに広く無い。
短時間で体勢を整え直すのは可能だ。

とりあえずメガネをかけようと手元を探るが、....無い。
あれ？

もっとよく探してみようと思ったが、それ程時間に余裕があるわけでも無い。
仕方なく裸眼で玄関へ。

郵便局の人らしき人から荷物らしき物を受け取り、部屋に戻る。
荷物の確認をしたいが、そのためには視力が必要。
もう一度本格的にメガネ探しを開始する。

が、無い。

おかしい。
よくよく探してみようと思ったのだが裸眼だと何も見えないんだな。

よくよく探して見つけるためにはメガネが必要で、
メガネをかけるためにはよくよく探して見つけないといけない。

なんという袋小路。
これが孔明の罠というヤツか。

それでもなんとか見つけようと眼に力を込めてあたりを見回すが無いものは無い。

ちきしょう。

....あれか？これはもうメガネをかけるなという神の啓示か？
よろしい、ならば裸眼でいこうじゃないか。
メガネっ娘から卒業だよ！

届いた荷物に向かいびりびりと包装を破いて中身を確認するが、やっぱ裸眼だと何も見えない。

....ちきしょう。
やっぱもっかい探すかあ。