彼女の名はサビーヌ

女優サンドリーヌ・ボネールが妹サビーヌの２５年間を撮影したフィルムをまとめたドキュメンタリ映画です。彼女が活発にカメラに語りかける時代から、現在の「明日も来てくれる？」とばかり尋ねる姿。見ていてその変化に切なくなります。
　妹サビーヌは芸術的なセンスにあふれ、家族はその特異さに気づかなかったほどですが、学校に行ったとたん「ばかなサビーヌ」といじめられ、特殊学級に通い、その後は２８歳まで両親と暮らしていたそうです。その間にも、態度が粗野になり、つばを吐き、悪態をつき、自傷行為をくりかえし、他人をなぐり・・。とうとう適切な診断を受けることなく精神病院に５年間入院。そのあまりの外見と内面の変化に、姉サンドリーヌは自らの名前を利用してお金を集め、適切な施設をつくったのです。
　今でこそ、少しずつ自閉症に対する理解は進んでいますが、少し前までは周囲の無理解はいかばかりだったでしょうか。
　ただ、サンドリーヌがラストにつぶやくように「彼女は回復するのだろうか？」と問われれば、たぶん、難しいのだろうなあと思います。
　２０日の１９時のUPLINK Xですが、１５，６人の人が来ていました。もっとも映画が趣味とは思えない人も多くて、おそらくは家族の誰かが自閉症などの病気にかかわっているのでしょうか？映画自体のできはもうひとつなのですが、意義深い映画であるといえます。