諦めるとき

雨が降ったので、湿度が高い。
なんか、すべてのものが、しっとりしている感じ。

恋愛は、自由だ。そのはずだ。
でも、制約されるときもある。

好きでも会えない。
好きでも別れないといけない。

現実を受け入れたくなくても、受け入れなければいけない時がある。。。



「あの、ゴールドカード作りたいんですけど、どうすればいいんですか？」
25歳の男(部下)が言ってきた。
この男は、レイザーラモンＨＧのようなベストが好きで、よく着ている。

「はい？」
なぜ、俺に訊く？カード会社に訊けばいいではないか。

どうせ、誰かに、言われたのだろう。
「ゴールドカードを持てば、モテる」


こいつが、ここまで、モテたいと思うのは、俺達にも責任があるのは事実だ。

2月のことだった。
飲み会で、取引先の会社の女の子が来ていた。
その女の子が、25歳の男と同い年だったので、

俺達は、
食事に誘えばいい、とか、
こんど、2人で飲みに行けば、とか
飲み会のときに、ずいぶん言った。

飲み会のあと、2人は、メアド交換をした。

そのあと、何回か、メールのやり取りをしていたらしい。


2週間後、
土曜日の午後に会議が入っていた。
飲み会のときの女の子の会社と会議だった。
俺達は、土曜日なので、会議に間に合うように出勤した。

しかし、時間になってもあの男だけこない。
携帯に電話しても、通じない。

しょうがないので、同僚と2人で俺達は、会議に行った。
あいさつをして、部屋に入ると、飲み会のときの女の子もいなかった。

俺は、「どうしたのかな？」と思ったが、他の仕事でもはいったのだと思っていた。

パワーポイントを使い、いろいろ話しながら、会議を進めていった。お互いの会社の部長も来ているので、かなり重要な話だ。

会議が始まり、1時間ぐらいしたときに、
「すいません」
と言って、
25歳の男と、飲み会のときの女の子が、2人で部屋に入ってきた。

部長までいる、大切な会議に若い2人が遅刻して、入ってきた。

俺達は、驚いた。
2人で来るとは…。

女の子の会社の人たちは、2人が付き合っていると思ってしまった。

俺達は、遅刻したら、2人が駅でたまたま会った、ぐらいにしか、考えていなかったが…。



2人は、飲み会のあと、メールをするようになった。
25歳の男は、思い切って、食事に誘った。
そうしたら、ＯＫという返事をもらった。

会議の前に、一緒にお昼を食べましょう、ということだった。

飲み会の時に、その女の子が、フランス料理のおいしいレストランに行きたいと言っていた。
だから、あの男は、フランス料理のレストランをインターネットで調べ、予約をした。

2人は、フランス料理を食べに行った。
1時間ぐらいで、帰れると思っていたら、コース料理だったので、2時間かかってしまったのだ。

地下のお店だったので、携帯の電波は届かなかったそうだ。

それで、俺が電話しても通じなかったし、
会議にも、遅刻してしまった。


俺達は、この男が遅刻をするのは初めてだったので、「次からは、気をつけろ」と言っただけだった。

でも、女の子の方は、怒られ、さらに、担当をはずされてしまった。


それ以来、25歳の男が電話をしてもその女の子は出てくれないし、メールをだしても返信してもらえないそうだ。


女の子は、取引先の男と付き合ったことを怒られたらしい。

俺達は、この25歳の男が、女の子と一夜を供にして、出勤してきたとは、思えないが、女の子の上司は、一晩過ごして、遅刻したと考えたらしい。

担当を外され、メールも電話もしてはいけない、と言われたらしい。


25歳の男は、自分がカッコ良くなり、モテる男になれば、もう一度、電話も、メールもでき、さらに会えると思っているらしい。

でも、この男の問題ではない。

相手の会社の問題だ。
メールも電話も禁止されているのだ。
担当も外された。

もう無理だと思う。

俺達の会社のように、自由な雰囲気の会社ばかりではない。


規則でガチガチの会社だってあるのだ。
女の子も、仕事を優先するしかない。


レーシック(近視矯正手術)をする。
ビームスに行く。
古着屋に行く。
たくさん、努力したのは、わかる。

でも、会えないとおもう。

ゴールドカードを作っても、意味がない。

そろそろ、現実を受け入れるしかない。。。