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素直になれなくて

2008年08月31日 02:40

M子と映画を見た翌日、学校に行くと

誰かに見られていたのか

「ひゅーひゅー」「熱い熱い」

とみなから囃し立てられた。

M子はというとそんな男子の声に耳も貸さず、

澄ました顔をしている。

オレも相手にするのが面倒なので

ロッキー見てきたんだけど、面白かったぞ。

お前らも見に行ったらどうだ?」

と話を逸らした。

「一緒に見に行ってくれるコがいないだも~ん」

野郎同士で行けばいいだろ?」

「つまんね~じゃん」

「だから、面白い映画だったって!」



担任のS江先生が入って来て、

相合傘が書かれた黒板を見て

「誰だ? こんなもん書いたのは?

翼とM子に一緒に映画に見に行って来いって

言ったのはあたしなんだから。

先生は二人を応援するぞ。

からかったやつがいたら、

あたしが承知しないからね」

そう言って、みんなに釘を刺した。



その後も色々と囃し立てられ続けるのだが

オレとM子の憎まれ口の応酬に

心配する声も多くなり

「お前ら夫婦喧嘩は外でやってくれよ」

と言われるようになる。



その通称、夫婦喧嘩は中2の夏前まで続くことになるのだが、

結局、M子に面と向かって、

好きだと言ったことは無いまま終ってしまった。

M子からも、好きだと言われたこともなかった。

横浜山下公園港の見える丘公園

一緒にいろんなとこに行ったが、

確か手を繋いだことも無かったと思う。





今、振り返ってみると、

当時のオレとしては負けず嫌いなところもあり、

先に好きだと言ってしまうことが

負けと認めるようで

イヤだったのかもしれない。

恋愛に勝ち負けもないのに、

やはり子供だったんだよなぁ。

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