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テレビでマイケル・ブーブレのショーを見た

2005年12月29日 05:56

まだクリスマス気分が抜けなくて、それはテレビ番組にもいえることで、アメリカのちょっと賞味期限のすぎかけた家庭向けの映画や毒にも薬にもならない安手のゲーム番組が特にこの時期分厚いテレビガイドの中に目白押しに並ぶ中、夕食後、8時のニュースの後でコーヒーを飲んでいると、こういうプログラムがあったのでへえ、ジェイミー・カラム人気も収まった中、オランダでも次にこれがぼちぼち流行り始めるのかと興味をもって見た。

自分のイニシャルを弦楽器入りのビッグバンド楽譜スタンドにつけて、自分の持ち歌をコンサートホールの20代後半から30代の女性を中心にした聴衆に向けて唄ったのだけど、それは半年以上前に聴いたDVDCDがセットになった、ジャケット白と黒でMBと半身ポートレートのうしろに記されている、It’s Timeというアルバムと同じような構成だったように思う。

以前にニーナ・シモンが歌ったので興味を持ち、無名の女性歌手ビールコマーシャルでも小気味よくドライブ感満点に歌っていたFeeln’Goodというのをオープニングに持ってきて、それが売りの一つでもあるのだけど、よく練られた舞台キャッチフレーズにもあるとおり、シナトラを受け継ぐ喉、というものだったのだけど、エンターテイメントとして申し分ないのだけど、聴きながらラスベガスのころのシナトラと自然と比べるようになるのだった。

50年代から60年代にかけてビートルズや電機ギターでロックがはびこる前にはショー形式のポップ・エンターテイメント全盛で、アメリカ白人中心の歌手目白押しだった。 そしてそういうショービジネスも、今でもそうかもしれないけれど、闇の世界との強いつながりに支えられていた時代だった。現にシナトラもそのつながりで議会の聴聞会にひっぱりだされて証言させられ冷や汗たっぷりで鼻薬をどれだけつかったのかしれないけれどなんとかやり過ごしている。

形式上、歌の、喉のスタイルはその頃と同じようではあるものの、聞く世界、受け入れる消費者とでもいうような我々の環境は大きく変わっていて、ヒップホップやラップ、黒人ポップが全盛の現代ではこのようなスタイルアナクロニズムの様相をさえ見せている。 ともかく、若い聴衆には40年前のショービジネスなど知ったことではないのではあるが、子供の頃、そのようなショーをテレビが興隆するころに覗き見した経験のあるものには懐かしいことではある。

さんざんロック世代の音の洪水を通過してきて、今、ビッグバンドでなんの驚きも無い安全で贅沢な娯楽を目の前にするとき、これ、みてごらんよ、クロスビー、ディーン・マーチンなんかと比べるとね、と声をかけたくなるような昔の大人はすでに何十年も前に他界して我々がその席に一人ぼっちで座っているという構図には寂しい思いがよぎるのであるが、客席のいまどきのMTVを眺めているとは思えないそれも何年も前に卒業して子供の一人や二人もありそうな婦人が黄色い声を上げているのを見ると、それにしてもトム・ジョーンズやフンパーディンクのよりは10年はもどる雰囲気だし、テレビではなくラスベガス舞台スタイルだなあと思われるのだ。

去年だったかイギリスのポップ・スター、ロビーウイリアムスがBBCの特番で同じようにビッグバンドバックにしてスタンダードを歌うのを聴いたのだが、途中でその無残さに堪らずスイッチを切ったことがあった。 同じように何年も前にMTVのライブトニー・ベネット若者に歌唱を聴かせる場面でエルビス・コステロがのこのこ出てきてベネットデュオをするのだが、コステロの無残な歌唱にまざまざと芸の無さを見せられて今でもその時のざらざらする感じが残るのだ。 それがいいというファンの心理も分からなくはないがわたしには御免だし彼を伴侶に選んだダイアナ・クラルの趣味の悪さ、ゲテモノ趣味には何も言うことはない。

この1年はジェイミー・カラムが昇り調子でわたしの14になる娘でさえ私のCDの棚からいくつか持ち出して聴いていたほどだ。 けれど、これらの若者向けのスタンダードを歌う男性ポップ歌手の中ではこのブーブレ君は一番歌唱力があるように思えるし、ステージの振り、構成も子供向きではない。 やはりアメリカにはこのような風土が残っているのだろう。 若い女性歌手でも喉、首、胸、腰が段々細くなり訓練されていても土台が華奢で豪華な音色を出すまでには至らない歌手が多い中、男性歌手では大柄の楽器としてがっちりした骨格と太い喉をもつこのブーブレ君は上に記した若手の歌手の中では、太くて低い音から高音まで滑らかで甘い声を作り出せてプロとして、機会があれば聴くに値するような歌手として当分のあいだは期待していいと思うのだ。

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