趣味は読書、無益

火曜日の朝雨が降って、僕は始発電車を待っていた。
僕の最寄り駅からは、朝の混雑時間帯に何本か、始発電車があるのだ。
競争が激しいので、2本くらいは見逃さないと座れない。
膝が痛くなければ、朝のラッシュも耐えられるが、膝を悪くしてから、早めに出て始発で座っている。
待つ間は、必ず本を読んでいるのだが、火曜日は雨で、庇から風に吹かれた雨が本を濡らすので、読むのを諦めた。
スマホも、古くて最近すぐに電池が減ってしまうので、ゲームもネットもせずに、ただ電車が来るのを待っていた。
多分、20分くらいだと思う。
久しぶりに、何もせず、ただ頭だけが働いている時間を持った。
活字も読まず、スマホも見ない。
周囲を観察したり、取り留めのないことを考えたり。
昔は、結構このような時間があった。
バスや電車を待つのに、一人だったら、ただ時の過ぎるのを待つしかなかった。
時には、スマホからも、テレビからも、活字からも解放されて、自分を中を掘ってみたらどうだろうか。
汚物が出るか、石油が出るか、ダイヤが出るか或いは何も出ないか。
何の役にも立たない、無駄も必要かもしれない。
人間が効率だけで暮らすなら、心など必要無いだろう。