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4th Taipei part 6

2016年07月13日 21:05

4th  Taipei  part  6

別れまであと3時間。

いかにエアポートホテルとはいえ
カウンターで1時間前には
チェックインしていなくてはならないから
実際にはあと2時間足らず。
すぐアメリカに行ってしまうのだから
恐らく二度と逢うことはないだろう。
二人が抱くその焦りにも似た気持ちが
異様なたかまりを呼ぶ。

時間はここまで人を淫乱にさせるのだろうか。

ゆっくりと行為そのものを楽しみ
指を、
口を、
舌を、
息を、
言葉を
駆使してあえがせる
などという余裕はもう微塵もない。

男は…
まるでレイプするかのように
取り替えたばかりのTバックをはぎ取り
裸の身体をぶつけあう。
歯と歯がぶつかり、カチカチと音を立てて
乱暴に唇を吸う。
いきなり太ももを極限にまで押し広げ
性器をさらけ出す。
クリトリスピアスにかみつき、
音をたてながら、愛液をすする。
いつになく硬さが持続しているペニス
奥の奥にまでつきさす。

女は…
わめきながら、身体をそらして
奥の奥にまで誘い込もうとする。
激しく、腰をグラインドし、突き上げて
より深くつながろうとする。
大量の愛液を吹き出して男の下腹に
生臭い、だが淫靡な芳香をこすりつける。
ほとんど白眼がちになりながらなお
その瞬間を見逃すまいとする。

すぐに
かすれたアルトのよがり声と
ため息にも似たバスのあえぎ声が
「あかん。あかん。」
「いくぞ。いくぞ。」
「ちょうだい。ちょうだい。」
などと交錯して
もうかぞえきれない、幾度目かのたかまりにかけあがる。

そして…
荒い息が整わないうちに
互いにのろのろと帰り支度を始める。
だが、気がつけば、また
着たばかりの服をはぎとりあって
獣の交合が始まってしまうのだ。
そして、行為の速度はさらに速まる。
すぐ挿入して
すぐイく。
それでいて
お互いに異常な快感を感じているのだ。
恐らく二人の
「ちょうだい。大きいの。おまんこに。」
「さすぞ。入れるぞ。ほらもっと広げろ。」
などという狂気の会話
というより叫び声は
ドアを越えて廊下にまで
流れ出していたに違いない。
だが、そんなことには
少しもかまってはいられなかった。
2時間足らずの間に
四回はイッただろうか?
最後には支度を終えて
ドアを開けようとした瞬間に
再び抱き合い
ドアにもたれかかせたまま
片足を持ち上げ
パンストを破り
引きちぎり
かろうじて残った乾いたTバック
引きずりおろして
ずぶりとペニス挿入した。
最後の最後と思うせいだろうか
どくどくと吐精して
ミニスカートを汚してしまう。
女の方も
「ちょうだい。もっと。もっと。おまんこに。」
とわめき
そこで失禁しながら飛んでいってしまう。
おそらく異様な快感に襲われたのだろう。

だが、もはや、息をつく暇もない。
もつれあうように
廊下に出てエレベーターに乗る。
行為の続きのように
口づけを交わしながら
下りのボタンを押した手は
次にはスカートの中に入れられ
愛液で湿ったパンティをひきずりおろす。
「二人のひと時の証拠品。」
というと、さらに強く抱きついてきた。
そして、これが二人の間での最後の抱擁となった。

決して洗練されている、とは言えない空港
わずか5分。
無言のティータイム
搭乗を急がせるアナウンス
南と北に、一時間と違わない旅立ち。
「絶対に泣かない」という約束どおりに
引きつったように笑い、
逢ってからはじめて交わされた
「軽いキッス」。
無理してふり返ることなく、
でも背中に未練を残しながら
無愛想なイミグレを通過して機内へと急ぐ。

スチュワーデスにほほえみかけながら
ポケットに手を忍ばせ
バックの濡れた感触を
確かめている自分に
かすかな嫌悪感を感じた。

(この章おわり)

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