- 名前
- ブルーローズ
- 性別
- ♂
- 年齢
- 62歳
- 住所
- 千葉
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趣味は読書、孤独な最低生活者の一日(3)
2014年06月29日 20:21
カプセルホテルで久しぶりに入浴し、缶ビール一本。安い満足感。
翌朝、カプセルホテルを出て、昨日の現場へ。
二日目なので、少し慣れ、解体業者達とも顔馴染みになり、割と楽に仕事は済んだ。
事務所で日当を貰い、翌日の仕事を貰い、カプセルホテルへ。
翌日の仕事は、前日と異なり、住宅街にある個人の家の解体現場だった。
更地の所々に、瓦礫の山や、未使用のブルックが積まれ、一輪車やスコップなどが置かれている。
彼が着く前に、同じ会社から派遣された作業員が二人いた。挨拶を済ませて、職人達を待っていると、二人の職人がやって来て、作業の説明を受けた。
最初は、瓦礫をガラ袋という袋に入れて、一ヶ所に集める。それが終わる頃に、もう一人職人が加わった。
三人の職人のうちの一人(監督らしい)が、2tダンプを運転してどこかへ行った。
一時間ほどして戻って来て、彼らは呼ばれた。
住宅街なので、ダンプは現場の80m手前くらいまでしか入れないので、そこから、荷台にある残土を、現場まで一輪車2台で運ぶように指示された。
彼は一輪車に慣れていないので、荷台からスコップで、土を一輪車に移す役だったが、これがキツかった。
一時間半くらいかかって、一台分下ろし終わり、昼食。
1時前に、食事を終えて現場に戻ると、監督は既にダンプと共に消えていて、それから30分ほどして、また残土を積んで戻って来た。
再び、残土を下ろし、3時の休憩。腕が棒のようになり、掌が痛んだ。
もう一度監督が、残土を取りに行った。戻って来て、これを下ろし終わるまで残業して欲しいという。
従うしかなく、必死で下ろし、30分残業して作業終了。
前日、前々日が割と楽だったので、この日はこたえた。
事務所で、金を貰い、カプセルホテルに直行しようと思ったが、三日で懐に一万二千円くらい金があった。はした金だが、彼は少し色気を出した。
カプセルホテルを通り過ぎ、駅前のパチンコ屋へ入り、五千円だけと決めて、パチンコをやった。
結果は、何と六万円の勝ち。12連チャンもした。
しかもまだ、九時前だった。そのまま駅前の居酒屋に入り、大量に飲んだ。
会計をすると、一万を少し出るくらい。
酔いもあって、彼は気分が良かった。明日も仕事はあるし、パチンコが儲かり、今は6万位上の金を、持っていた。四日前はほぼ無一文で、友人に金を借り、嘘をついてまで、今のアルバイトを始めたのだ。
彼は、酔いのまわった頭でなぜか、友人に金を返さねばと思った。夜の11時を過ぎ、これから友人を訪れるのは非常識だなどとは思わなかった。
彼は、電車に乗り、友人の住む街の駅で降り、友人の家へ歩いた。誰が見ても酔っているのが分かるほどの千鳥足だった。
子供の頃は自転車で、そして、つい四日ほど前は、歩いたよく知っている筈の友人の家への道に彼は迷ってしまった。
だんだん、街灯も疎らな細い道に来てしまった。その先に、小さな公園があった。公園のベンチで、彼は考えたが、どこだかまるで分からなかった。引き返そうと、迷って立ち上がった時、不意に後ろから、後頭部を殴られた。
彼は気を失った。
その公園を寝ぐらにしていた浮浪者は、倒れた彼のズボンの尻ポケットから、財布を抜き取ると、一目散に逃げて行った。
彼は、横たわっていた。愚かなものは、いつまでたっても愚かなのだと思いながら。目から、涙か流れていた。
了
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