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~背徳のシナリオ~ 忘れない躰 No.3

2009年05月20日 12:07

菜々美は携帯を手に取った。
いっそ電話してしまおうか・・・。

弘樹に貰った名刺を、隠していた母子手帳からそっと取り出すと携帯の番号を入力し始める。

090-347・・
ふとそこで手が止まる・・

― 私、一体何やってるんだろう・・やっぱり出来ない・・ ―

手にしていた携帯をサイドボードの上に置き、名刺を再び母子手帳に・・・。

そんな行為が何度も繰り返されていた。
弘樹が突然やって来たあの日から、まだ1週間と経っていないのに・・・

なるべく考えない様に家事と育児をこなしていたが、一段落して時間が出来てしまうとついつい考えてしまう。

あの懐かしい逞しい体に抱かれた心地良さ、ふぅっと甦る甘い記憶。
続きがある筈のないその出来事に、自分の中で続きを作ってしまう。
そんな妄想の日々に、菜々美は一人体を熱くし、悶々としていた。

― 軽い女だと思われたくない・・・ううん、私はそんな女じゃないのよ・・ ―

自分の中の理性と一生懸命闘っていた。

そんな時、インターホンが鳴った。

モニターを見てみると、弘樹が周りの様子を伺いながらモニターを覗き込んでいる。

― 近所の目があるから、もう家には来ないでって言ったのに・・―

でも、内心嬉しかった。
自分からは何も出来ずに待ち望んでいた自分がいた。

午前中の昼寝をしている娘を起こさないように玄関に走り寄る。

そっとドアを開け、弘樹を招き入れた。

有給を取ったんだ。妻には内緒で・・・今から出られない?」
「今から?・・・でも、子供が・・・」
託児所に預ければいいよ。簡単に預けられる所、知ってるから」
「そう・・。でも、預けた事ないし・・・」

戸惑い、迷っている菜々美を弘樹が促す
大丈夫だよ。子供にもいい経験になると思うし・・・」

そう言われると、妙に納得した菜々美は軽く頷いた。
「待ってて。預ける準備をするから・・・」

菜々美は急いで荷造りをした。
子供を預ける要領など全く分からないが、食べ物、飲み物、オムツおもちゃ等・・・最低限必要な物をバッグに詰め込んだ。

準備が終わって、まだ眠たそうにしている娘を無理矢理起こし、抱き抱え、玄関に座って待っている弘樹に走り寄り靴を履く。

「近くの公園まで歩いて来て。車をまわすから・・・」
言うと、弘樹は車を取りに出て行った。

菜々美は時間差で家を出た。
公園までは歩いて5分。
陽が高くなろうとしている。
よく晴れていて、新緑の何とも言えない爽やかな香りが漂っている。
お昼の近い事もあってか、公園付近には人の姿もなく、弘樹の車を見つけると娘を抱えたまま後ろの席に乗り込んだ。

弘樹はそっと車を走らせた。
託児所はすぐ近くだった。
託児所の少し手前に車を止めると、弘樹は財布から1万円取り出し菜々美の手に握らせた。

「これで足りると思うけど・・・夕方近くまでの予定で」
「有難う・・。うん、行って来るね」

菜々美は、初めての託児所に緊張しながらも娘を預けた。
泣いてすがる娘に後ろ髪引かれながら、託児所を後にした。

人の目を避けて後ろの車に乗り込んだ菜々美。
「お昼、食べに行こう」
行き先も告げずに弘樹は車を走らせる。
着いた先は、2人の思い出の残るレストランだった。

食事をしながら、思い出話や別れてからこれまでの話しに花が咲く。

2人の緊張はいつしか解れ、昔の・・・付き合っていた頃の2人に戻ったよう・・・そんな感じだった。

「この後、どうする?」
不意に弘樹が問い掛ける。
「うん・・・」
菜々美は声を詰まらせた。
ホテル・・・行ってもいい?」
弘樹の唐突な問い掛けに、菜々美は一瞬戸惑いを見せつつも・・・小さく頷いた。

弘樹は車を走らせる。
右手に桜島の見える海岸線・・・海面が太陽の光でキラキラと輝きを放っている。
そんな海沿いの― とあるホテルに2人を乗せた車は吸い込まれていった。

菜々美の心臓は既に爆発寸前。
部屋に入ると、窓の外には真っ青な海が広がり、まばゆいばかりに美しい新緑の桜島を目の前に臨んでいる。
白い家具で統一されたその部屋に入るや否や、菜々美は弘樹の両腕で壁際に取り押さえられた。

唇を奪われる・・弘樹の舌が激しく絡み付いてくる・・・

もう・・・それだけで菜々美の体は熱くなり、下半身がうずうずとしてくる。

菜々美は堪えきれずそっと弘樹の胸に手を当て
「待って・・・シャワーを浴びてくるから」

恥ずかしそうに弘樹から離れシャワー室に飛び込んだ。
鼓動は激しくなるばかり・・・

もう、後には戻れない・・・
いつもの臆病な菜々美は捨てよう・・・

これから始まるめくるめく世界に胸を高鳴らせていったのである。




う~ん、また引っ張っちゃったぁ~;
(*_ _)人ゴメンナサイ
次はいよいよ・・・(*ノωノ)キャー

このウラログへのコメント

  • ブンジロウ 2009年05月20日 12:25

    これ、鹿児島の話?
    じ、実話?w

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月20日 13:03

    ブンジロウさん、いつも有難う(*´ェ`*)ポッ 鹿児島しか知らないので舞台にしてみましたぁ~(*´σー`)エヘヘ 勿論、実話でなく妄想です(//・_・//)カァ~ッ…

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月20日 13:05

    正章さん、いつも有難うです┏(<:) ペコ 興奮出来る内容に出来たかなぁ~;まだまだ盛り込むともっと長くなっちゃいそうで怖い自分がいます(ノ_-;)次はどんな展開にしようかなぁ~うーん;

  • kazu 2009年05月20日 13:40

    妄想?事実?どっちにせよ面白いよ!
    昼ドラよりいいよ!笑
    次回を楽しみにしている!

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月20日 14:01

    レレ爺さん、コメヽ(嬉≧∀≦)ノありがとっ♪ねぇ~っ、とうとう子供を預けちゃいましたぁ(笑)昼間から淫らな妄想しまくっています(*ノωノ)

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月20日 14:03

    kazuさん、コメアリ*:・(*-ω人)・:*ガト 昼ドラよりいいだなんて言って貰えて嬉しいです(*´ェ`*)ご期待に副える内容になる様に頑張りますねッ!!(〃∇〃)

  • せごドン 2009年05月20日 17:29

    事実は小説より奇なりといいますが,妄想から現実になっていくパターンも見えてきましたね。

  • suzuki 2009年05月20日 19:05

    だめだよ!今ならまだ間に合う。目を覚ますんだ。子供が泣くよ( ̄○ ̄;)

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月21日 08:18

    せごドンさん、いつもヽ(嬉≧∀≦)ノありがとっ♪妄想から現実に・・・ですか?ごっちゃになっちゃったら怖いんですけどねぇ~;私は主人だけを愛してますから大丈夫!!(*μ_μ)

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月21日 08:19

    suzukiさん、いつも有難うです(*´ェ`*)ポッ 目を覚ますんだ!!確かに・・・妄想の中だけ・・・私に羽ばたかせて下さいな┏(<:) ペコ 子供が泣く様な事は現実には絶対しませんので;

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月21日 08:21

    ハイロさん、いつもアリ*:・(*-ω人)・:*ガト そんなにドキドキして頂けて光栄です(*´ェ`*)ポッ そう・・・やっぱり・・(*ノωノ)キャー 私もまだ次の展開は知りません(笑)

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月21日 08:24

    悶々さん、いつも。・:*:・(*´ー`*人)。・:*:・アリガト  親身になって下さって・・嬉しいです♪そう・・2人は元同僚です♪そこだけは真実です(笑)賽は投げられた・・・もう戻れない・・。

  • 北休 2009年05月21日 08:49

    引っ張りますね~^^;

    桜島の見える海岸線のラブホ・・・どこだろう?磯か??

  • ♪ NANAMI ♪ 2009年05月21日 09:19

    北休さん、いつもヽ(嬉≧∀≦)ノありがとっ♪妄想の中の海岸線は与次郎の海岸線です☆あの辺り、結構ありますよねぇ~( ´艸`)ムププ

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