- 名前
- ageha1221
- 性別
- ♀
- 年齢
- 41歳
- 住所
- 岩手
- 自己紹介
- ログはたいてい妄想、もしくは願望。 あと、少し、本当のことも。 コメントお願いします。
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別の話。そして半分、本当の話2
2008年05月13日 10:27
あのキスのあとも、
関係が深くなるわけではなく、
次の日も
「残業しすぎるなよ」
ぐらいの会話をしただけだった。
飲み会のあと、2人で帰ろうとも、
2人で車で移動しようとも、
私たちの間にはなにもなかった。
あってはいけなかった。
だから、
会社で一番仲のいい2人になった。
だけど、状況は変わってしまった。
彼の出向期間の終了。
本社へ戻る。
彼の全てが家族のもとへ帰る。
心も体も。
本当は送別会なんて出たくなかった。
みんなに
「体に気をつけて」
なんて言われて、
へらへら笑っている彼なんて見たくなかった。
どんなにアルコールが体に入っても、
視界も意識もはっきりとしていた。
「行かないで」
なんて言える関係じゃない。
むしろ、意地悪く
「いなくなってせいせいするわ!」
ぐらい、言い合う仲・・・
今の私の気持ちはどうにもならない。
散々ちやほやされた彼が、
私の席の隣に来て、
「お前飲みすぎ」
と頭を小突いてきた。
正反対の席に座ってたくせに、
私がどれくらい飲んだのか見てた。
この人は、いつもそうだ。
見てないようで見ている。
「気持ち悪くないか?」
頷いた。
「トイレは?」
首を振った。
「なんで、声出さないんだよ」
と彼は言った。
最後の飲み会だし、
いろんなことを話したかった。
けど、話そうと思うこと全部が、
これで最後になってしまうのかと思うと、
悲しくて、切なくて、どうしようもなかった。
「もしかして、俺いなくなるから寂しい?w」
彼は笑いながら言ったけど、
私は頷けもせず、首も横に振れず、
ただ、自分の膝だけ見つめていた。
予期せぬ事態・・・
彼が
私の肩を抱いた。
安堵・・・
その途端、
はっと我に返り、周りを見回す。
すかさず、同僚が一人が気付いて、
「浮気発見!!!!w」
と騒ぎ始めた。
彼は
「こいつ、本社まで持って帰りますからw」
なんて冗談を言って、
私の肩をぽんぽんと叩いた。
「私の意思もちゃんと聞いてからにしてくださいよw」
と彼の腕を軽く戻してあげた。
冗談に冗談で返したはずだったけど、
きっと、私の顔は真っ赤だったに違いない。
1次会終了。
飲みすぎて立てなくなった私を、
彼が立たせてくれて、
タクシーも拾ってくれた。
私をタクシーに乗せて、
「気をつけて帰れよ」
と言ってドアを閉めた。
運転手の「どちらまで?」に返事をして、
タクシーのウィンカーが車線方向に変わった瞬間、
私の席の窓を叩く音。
運転手が驚いて、
慌ててウィンカーを戻し、私の左側の窓を開けた。
「予定変更。俺も帰るわ。」
乗り込んだ彼は、自分の部屋の方向を告げ、
ため息混じりにネクタイを緩めた。
「うちの方がこっから近いから、
うちで少し休んでから帰れば?」
頷いて、
ようやく回ってきたアルコールの酔いに目を閉じた。
彼の部屋はほとんど何もなく、
ダンボールの箱が数個置いてあるだけだった。
冷蔵庫から出したお茶を少し飲んで、
ぼーっと部屋の中を見回した。
彼は目の前に座って
「大丈夫か?」
と何度も尋ねるので。
それにこくこくと頷いた。
テレビもない部屋は静まり返って
なんだか落ち着かなかった。
彼は引継ぎの話やら、
明日の予定やら、
本社の話やら。
仕事の話題で坦々と静けさを埋めていった。
けど、私は、そんな話がしたいわけじゃなくて、でも言えなくて、
彼の話のきりがいいところで、
そばに置いてあったバッグをつかんで、立ち上がった。
「もう大丈夫です。帰れます」
「ああ」
玄関で靴を履き、
涙がこぼれそうなるのを必死にこらえて、
振り返った。
「たまには連絡くださいね。
お体もお大事に。
飲みすぎたらだめですよ。
帰ったら、いっぱい家族サービスしてあげてください。
いろいろありがとうございました・・・」
深々と頭を下げた。
同時に、こぼれそうになっていた涙が、
落ちてしまった。
頭を上げられず、
しゃくりあげる私の肩に手を置き、
「我慢してたのに」
と言って、
私を起こして、キスをした。
「予定変更、帰す気なくなった」
一気にこみ上げて大泣きをして、
抱えられるまま、部屋に戻った。
唯一残っていたベッドになだれ込んで、
子供みたいに泣きながら
「行かないで」と言い続けた。
彼は、私の名前だけ呼びながら、
頭のてっぺんから首筋までキスをした。
一度、私の顔を見て、
「泣いてんなよ」
と言って、深い深いキスをする。
このウラログへのコメント
うう・・せつないね・・・始まりがあるものにはおわりがある・・・
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