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「落下の解剖学」レビュー☆

2024年08月07日 01:52

「落下の解剖学」レビュー☆

ザンドラ・ヒュラー主演他。これは事故か、自殺か、殺人か―。人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子(ミロ・マシャド・グラネール)だけ。承認検事により、夫婦秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ<真実>が現れるが―。事件の真相を追っていくうちに、観る者は想像もしなかった人間の深淵に、登場人物たちと共に<落ちて>いく。そして最後に突き付けられるのは、あなた自身を映し出す鏡―今、現代を抉る新たな傑作が誕生した。第96回アカデミー賞脚本賞受賞、第76回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。

9/10点!!正直、物語が佳境に入るまで寝落ちしたけど(爆)、全体を通して観たら見事な人間描写で、私にとってタイムリー過ぎて心が抉られ再起不能に陥った(涙)人と人が争うこと自体、膨大なエネルギーを要し醜いものなのに、裁判法廷と言う場は何が真実かを追求する場ではなく、嘘を言い、その嘘を暴き、互いをもっと貶め傷つけ合うだけの場だ。サンドラの言うように、負けたら最悪だけど、裁判に勝ってもそれは“ただ終わっただけ”で何も得られない。“just over”。夫婦とはそもそも個人的なものなのだから、公の場で、全てを明らかにする必要がない。傍から見たらAという事実でも、実際二人の間で交わされた感情はBでもあるしCでもあるかも知れない。それを第三者がどうこう言う権利もないはずだ。私は誰も傷つけたくないし、傷つけられたくない。大切な人を巻き込んで無意味に傷つけたくない。今、悲鳴のようにそう心がそう叫んでいる。本当の意味での真実は、裁判では絶対に得られない。真実は観る角度、人によって違う色だから。なのに、何故わざわざ自分と相手をさらに貶める場に引っ張り出すのだろうか?私は人間のこのどす黒い感情や世界に対応出来るほど、黒くなれない。すごく苦しくて、息が詰まり、どん底に突き落とされる余韻が半端ない作品だった。2024年公開。

このデジログへのコメント

  • Hiro7100 2024年08月07日 08:59

    「12人の怒れる男」や「評決」「クレイマー・クレイマー」など、

    裁判劇って、名作が多いですね。。

  • ユリ 2024年08月09日 05:10

    > Hiro7100さん
    そうですね。でも疲れるし、結末が重いことが多くてメンタルダメージもハンパないです(^^;)

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