書籍:人生で必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた。

今日の紹介は、岩井俊憲氏の著書。

■人生で必要なことは、すべて「ドラえもん」が教えてくれた。
■横山安之（著）


ドラえもんは存在自体、生来的にコーチング・マインドを持っている。
ダメ男の代名詞のようなのび太を成長させたのだから。
本書では、ドラえもんの事例を挙げながら、コーチングの手法を紹介しています。
本書を読めば、部下にイライラすることもだいぶ軽減されるのではないかと思います(多分)。
それでは特に参考になった話を紹介していきます。


●欠点だらけの社員でも、何かひとつは長所や取り柄があって、それを積極的に伸ばせば会社のためになるということは十分にわかっている。しかしながら、部下の中には、欠点ばかり目立ち、現在のところ会社に損害ばかり与え、さらに城下同僚ともまったく波長が合わない人間もいる。
このような部下の長所を見つけて伸ばしてやるということは、口で言うのは簡単だが、実際のところなかなか難しい。
この場合は、自分の最も得意なものを前面に押し出してモデル化し、そのモデルを手がかりにしながら、苦手なものを一つひとつ克服していくように導くのが上達のコツである。コーチされる人は得意技や長所を自分の心の中にしっかり刻み込むことによって変身パワーの源泉を獲得し、このパワーによって不得意な分野や嫌いな分野を一歩一歩開拓するのである。
こうした開拓によって、好きな分野が多く開拓さればされるほど、コーチされる人の世界は豊穣になっていく。
（P32引用）
実は欠点だらけであり、失敗ばかりしてしまっている人は、自信をなくしてしまっているという人がほとんど。
その自信をなくしたことが、失敗の原因になっていることが少なくない。仕事がまだ未熟な人も確かにいる。でも実は仕事が未熟なのも、自信をなくしてしまっていることとつながる。
ならば、上司はどうすればよいか。まずはできる部分を認めて指摘してあげること。実は私が昔、営業で成績が下降し続けていた頃、その時の上司にすべてをダメ出しされた。
その時、思ったのが「私はすべてがダメなのか」ということだった。非常に落ち込んだ。しかし、ある時気が付きました。自信をなくする昔できたことすら、できなくなってしまうということです。
思いつめると、さらに悪い方へ行ってしまうのである。特に欠点だらけの社員に対しては思いつめさせないことが大切になる。
出来ている部分は承認してあげる。そうすることで、他のできていないことを克服していく。まずは自信をつけさせてあげることからですね。

●アメリカの海軍では、新兵に戦場でのルールを学ばせるのに、同じ訓練を何度も繰り返させる。
つまり、「彼らがそれを忘れるからではなく、そのスキルを習慣として体に染みこませるため」であると紹介されている。
そうすることによって、「兵士が火の海や世界がひっくり返るような、頭が正常に動かない事態に遭遇しても、冷静に行動できるように」なる。
（P60～61引用）
頭ではわかっていても、なかなか行動できないことはある。ある程度のレベルになるまでは反復練習し、体に染み込ませることも必要である。自然にできるようになってから、オリジナリティの上積みはしていけばいい。
ある種、「守・破・離」の理論とも通ずる。まずは体で覚えて、自然に行動できる部分まで持っていくことですね。

●人間は誰でも、間違いや失敗を避けることができない存在である。したがって、上司はどうして間違いや失敗ばかりするのかと批判するより、「誰でも間違いや失敗はあるものだ」という前提でことに臨む必要がある。
そして、部下に対する希望や期待を伝えることのほうが、部下はより建設的な態度で問題解決に取り組む足がかりを獲得することになる。
間違いや失敗の発見や指摘は、部下に強烈な痛みを体験させることになる。
しかしながら、自覚した部下であれば、そうした体験からより多くのことを学ぶ機会となる。
もちろん、上司は間違って、あるいは失敗して意気消沈している部下に心の処方箋を施し、課題復帰への心の準備をしっかり整えることが肝心である。
（P85～86引用）
そもそも間違いや失敗を犯した部下は、反省はしている。
そこに意気消沈させるような怒りをぶつけても逆効果である。
とはいえ、上司はその部下に対して詰問したり、怒りの感情をぶつけてしまいがちです。
では、どのようにしたらいいか。
まずは、自分が苦手だった先輩や上司を思い出す。
そして怒られた嫌なことを思い出す。
あの上司と俺は一緒かよと思えば、同じように感情をぶつけたりはしないだろう。