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ナル

2014年07月03日 00:45

ナル

つい去年のこと、エルサ・ロニングスタム博士とアリーレ・バスキンソマーズ修士たちにより、神経科学的な見地から「恐怖と意思決定をする過程がNPDとつながっている」という発表がありました。確かに、これまでも「恐怖」という感情が自己愛性パーソナリティ障害、そしてナルシシズムの原因の一つではないか、とは学者の間で考えられていたようなので、2013年になってやっとそれを裏付けることが出来たのですね。

おふたりがおっしゃるには、心の闇と後ろ向きな経験に対する恐れ、もしくはそういった自分自身に我慢がならないと感じた時、破壊衝動自殺衝動など自分のコントロールを超えた絶望が発生し、そうした感情から自分を護るためにNPDが発症するのだそうです。何かしらの恐怖体験がトラウマとなり、ナルシシズムの早期段階が始まるのだ、とも。

恐怖と一口に言っても、親からの虐待ですとかイジメ心霊体験などに限らず、自分が何かを達成できなかったり、競争に負けてしまったり、本来の力が発揮できず失敗に終わってしまった...という体験が引き金になってしまうのです。これは特に、完璧主義者に多い恐れでしょうね。

そして神経学的な話、科学者が指摘するには、脳ミソの中で感情を起伏させるために刺激を与える「小脳扁桃」という部位や、「中隔側坐核」、「海馬」、そして前頭葉をつなぐ神経などが恐怖を感じた時に、生物学的な反応を起こすのがナルシシズムのきっかけを作り出すことなのだそうです。

特に男性の場合は、強いストレスを受けた時にも脳内ホルモン・コルチゾールが刺激され、恐怖体験をした時と同じ反応を起こしてしまうこともあるのだとか。うーん、もしかすると、やたらと威張り散らすオジサンたちはもしかすると仕事で過度のストレスを受けた末に、そうなってしまったのかもしれません。

自己愛性パーソナリティ障害の代表的な症状である、物事を大袈裟に喧伝するところや他者への共感ができないところ、それに少々のことでは動じないところなどは、一般的によく言われる精神病...つまりサイコパスともよく似ているそうです。重なる部分も多いので、中にはナルシシズムの核となる部分はサイコパスなのではないか?
と考えている学者も少なくないのだとか。

というのも、両者ともに上記で述べたような、なりふり構わず自分のゴールを目指し、なるべく安全・確実な方法で勝利を収めようと努める共通点があり、自分が持つ恐怖に対して過敏で過剰な反応を示すという極端な部分が類似しているのがその根拠なのです。

先ほどから何度も他者への共感ができない、と言っているナルシシズムですが、イギリスサリー大学とサウサンプトン大学での研究結果により、NPIで潜在的ナルシストの段階に該当した人たちであれば、他者が耐え忍んでいる苦痛を想像してみるよう頼んでみるとそれが出来ることが分かりました。

そこから導き出されるのは、他者への共感性の低さは低いというだけで、決して共感が出来ないということではないのです。まぁ、この方々は顕在的なナルシストではありませんので、他者への共感は難しくないでしょうね。

さて最後に、ナルシシズムの治療には患者自身の考えと行動により、自らの中に眠っている恐怖心に注意を向け、それを理解することが大事なのだそうです。

しかしそれだけではなく、患者がその治療を受け入れるには、自身が精神的に弱く満ち足りていないことを自覚する必要があるというから、ナルシストとしての自信に溢れたプライドを一度捨てないといけなくなりますね。

多少は自分が大好きなのは日常生活で必要なことでしょうけども、自分だけが得をするために、他人を巻き込んで迷惑をかけるほどであれば精神科医や心理学者を訪ねてみるのも良いかもしれません。

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