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「少年H」レビュー☆

2013年08月06日 23:07

「少年H」レビュー☆

水谷豊主演他。すべてを失ったあの夏、我が家未来が始まった―。昭和初期の神戸。洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)とキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、胸にイニシャル「H」が入ったセーターを着ていることからエッチというあだ名が付いていた。幸せに暮らしていた4人だが、一家のまわりでも徐々に不穏な空気が漂うようになり、やがて戦争が始まる。学校に入ったHを待っていたのは軍事教練ばかりが続く毎日だった。戦況が降りになるにつれ、Hたち家族の日常も激変していゆく。ついに神戸も大空襲に襲われ、終戦を迎えたとき、街は見渡す限り焼野原になっていた。その中で、神戸も日本も生まれ変わろうとする。そして、Hの一家も、小さいが確かな一歩を踏み出していく。異国情緒あふれる神戸舞台に、「戦争」という激流の渦に巻き込まれながらも、勇気、信念、愛情をもって生き抜いた「名もなき家族」の物語。

6/10点!!幾度か映像化されている作品ですが、私は初「少年H」です。キリスト教が根付いている神戸舞台、家族でキリスト教徒、父親の洋服の仕立て屋の仕事柄、閉じた日本の時代に、開けた世界や考えを吸収する幼少期を過ごす少年Hこと肇が主人公という事以外は、戦争時の普通の家族の話だと思いますが、水谷さん演じる父親と息子の関係が、素晴らしかったです。現代にも通じる親子のお手本で、こういう親になれるように頑張らなきゃなと思いました。社会の矛盾や、自分で正しいと思う事が、必ずしも通用しない時、それでも、真摯に子どもの「どうして?」に向き合い、子どもが進める道を作ってあげられる父親がいたからこそ、肇は、変に大人に右習えすることなく、自分できちんと考えられる子に育ったのだと思いました。肇目線で戦争という非日常の日常が進んでいくので、慕っていた近所のお兄さんの自殺、何か恐ろしい事の最中にいるはずなのに、前向きな事しか言わない社会、敗戦後、級友同士と抱き合い「何だったんだー!」と泣き叫ぶシーンが、子どもたちにとっての戦争を全て表していて、何だかわからない内に大切な人達を奪われる彼らの気持ちを考えたら、泣きそうになりました。その後、白米を巡って、肇は母親と対峙し、どちらも正しいのですが、正論を振りかざした時、それは武器になる、戦争はそうやって起こったのだと、母親・蘭さんの目は息子に伝えているように見えました。父親はしばし、これからの自分の道に迷いますが、肇は自分の軸であった父親が揺らいでいる事に絶望しますが、その父が立ち直り、全てを新しく始めようと言ってくれた事で、親からの自立を決意します。家族、親と子、社会の中の学校、家族、肇少年を通して、現代に通じるたくさんの大事な事を教えてくれる作品です。2013年公開。

このデジログへのコメント

  • Hiro7100 2013年08月07日 12:58

    戦争モノは、非常に不得意です。
    「地上より永遠に」「西部戦線異状なし」は好きですけど

  • ユリ 2013年08月08日 11:25

    > GRAYさん
    戦争ものはあまり悪くは書けないのと、SPドラマで良い内容なのと、事件があまり起こらないので、2時間強は長すぎると思いました。

  • ユリ 2013年08月08日 11:26

    > Hiro7100さん
    私は、好きです。きちんと向き合う時間をくれるし、まだまだ知らない歴史がたくさんあるからです。

  • ユリ 2013年08月10日 00:49

    > GRAYさん
    脚本はALWAYSの方なんですね。なので、少しぶつ切り感があったので、テンポ悪く感じたのが長い原因だったのかもしれません。

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