心から、ありがとう

今日は成人式ですね

お天気が心配ですが、新成人のみなさんにとって
最高に忘れられない成人式になることを
心から祈っています


私の成人式は、もう11年前になります

私も着物を着て、成人式に出席しました
といっても、当日まで私は出席しない予定だったんですが



というのも、当時私は大学の費用や生活もろもろを
自分のアルバイト代で賄っていたので
成人式に出ようと思っていませんでした


アルバイトの収入が、ひと月で14万、学費が半年で約50万・・・

そのほかにテキスト代、車のガソリン代、その他もろもろ
毎月自分のお財布に入れられるのは、頑張って1万円・・・

なので、スーツも当時持ってなかった私は
成人式に出ることをあきらめ、
当日はアルバイトをする予定に


ですが、成人式当日になって
付き合ってる彼が私の家に来て
「ちょっと出かけよう、バイト先には連絡しておいたから」
と、半ば私を拉致状態で車に乗せ

「どこに行くの？」
と聞く私に、
「綺麗な花が咲くところ」
とだけしか答えませんでした


車で20分ほど走って、到着したのは
どこにでもある、普通の一軒家


私「ねぇ～、ここで何かあるの？」
と聞いても
彼「ほれ、こっちこっち」
と、手を引いてそのおうちへ行くだけ


インターホンも押さず、「おはようございます」
と玄関を開けると

「いらっしゃい、準備出来てるからね」
と、50代くらいの女性が玄関で私たちを迎えてくれ

「さあさあ、あがって」
と促されるままおうちの中に



「じゃあ、こっちにお願いね」
と、わけもわからず案内された先は
たくさんの着ものが並ぶお部屋



「さあさあ、どの柄が似合うかな？
お好みはある？」
と聞かれ、事態が飲み込めない私は

私「お好みって・・・えと、どういう意味でしょう？」
と質問


「あら、聞いてないの？最高の着ものを着つけてほしいって、お願いされたのよ。
今日、成人式だもんね」



謎が解け、嬉しくて嬉しくて

私「どの着物も素敵で、選べないです。選んでいただいて・・・」
とお願いすることに


およそ1時間30分ほどでしょうか、
着付けやヘアメイク、メイクやネイルなど
すべてその女性がコーディネートしてくださり
見事和服ｲﾁｺﾞになりました


「よし！じゃあ行くぞ」
と、一息もつかずまた車に乗り込み
式の会場へ


彼と私は、高校、大学は同じですが
小、中は違います
ですが、同じ市内なので
会場も当然一緒


参加しないと思っていた成人式に出られ
綺麗な着物を着つけてもらって
とっても満足した成人式でした



ですが、それよりも嬉しかったのは
式の後にアルバイト先の酒屋さんに行って
社長にお礼を言った時

「彼氏がさ、土下座してお願いするんだよ。
一生に一度の成人式だから、どうか出席させてあげたい。
代わりに自分が仕事するから、お願いしますってさ。
で、今日やる予定だった○○エリアと○○エリアの配達
彼氏が1週間前くらいに電話でお願いして
昨日の夜中、全部配達してきたわけよ。
お客さん全員に頭さげてよ、なかなか出来ねーよ。
俺でも5時間は配達にかかるってのによ。
言わないでくれって約束してたんだけどさ、
あいつの名誉のためだからな。」

私の知らないところで、私のために努力してくれてたんだ
そう知ったら、とてもうれしくてうれしくて
涙がとまりませんでした


そして、もうひとつが
着付けをしてくれた女性のおうちに、後日あいさつに伺った時

着付けをしていただいて、ありがとうございました
とお礼を伝えに伺ったところ

「私ね、去年ずっと病院で入院してたのよ。
その時に○○くん（彼の名前は伏せさせていただきます）がお友達のお見舞いで
病院に来ていて。
その時に知り合ったんだけどね、
昨日今日知り合ったこんなおばさんに、ずっと優しくしてくれたのよ。
私って主人も亡くなっちゃって、子どもも東京だからさ
着替えとかの洗濯もできないし・・・
そういう話をしていたら、
（俺を信用してもらえるなら、洗濯とか身の回りのお世話します。
もっと信用してもらえるなら、自宅のほうも俺が管理します）ってね。
嘘つかなそうって思ってたから、不用心だけど信用して鍵とか渡したのよ。
そしたら、ほぼ毎日着替えを持ってきてくれて、
突然入院したことをご近所さんにも伝えてくれて。
病院の支払いとか、そういうの全部
生命保険の手続きなんか進めてくれて。
しまいには看護婦さんに（いい息子さんですね）なんて言われちゃって
他人の私なんかに、優しくしてくれる人がいるんだなって嬉しくなってね。
年末かな？○○くんから電話が入って
（よかったら、彼女の着ものの着付けってお願いできませんか？）ってね。
私、こう見えてもそういうの得意だから。
着物は私のなんだけど、全部最高のやつなのよ。
あなたが着たのは、600万であつらえたやつ。
あんないい彼、滅多にいないわよ。
大事にしてあげてね」

私が知らないところで、努力していた彼


彼のおかげで、私は成人式を迎えることができました
ずっとずっと、忘れたりしません



みなさんも、もし自分にできることがあったら
誰かの役に立てるのって、とても心を満たしてくれますよ