福山龍馬

再放送をやっている。かっこいいなあ。

　たぶん、福山龍馬は実像の龍馬に一番近いと思う、やさしい。幕末の有名な志士で彼らと一番違うのは、やさしいことだ。

　彼は剣術遣いであるのにもかかわらず、人を殺していない。西郷にしても武市にしてもテロを指令した。例えば、イラクやアフガンのテロは日本の尊皇攘夷だ。ナショナリズムだ。高杉だって品川でテロをやっている。

　このやさしさが裏目に出た。

　西郷と坂本が決定的に袂を別つことになった。この二人は世に出方がすごく似ている。西郷の師匠は藩主斉彬だ、彼は当代きっての英明君主だ。坂本は勝つが師匠だし、勝はアメリカを見ている。日本の政治制度の青写真が見えた。坂本は勝のコピーだ。勝は幕臣だから代わりに坂本が手足となって動いた。

　問題は徳川をどうするかだ。ここに西郷と坂本が決定的に違った。タダ、西郷にはアメリカの民主主義の青写真はない、ないどころか民主主義を根本的に理解できていない。当時の日本人全員は民主主義が理解できていない。明治なってから久光が大久保に聞いたそうだ、いつ将軍になるのだ、と。
　西郷は毛沢東と同じように革命家である。未来に対する青写真はないが、徳川を残していては日本の未来はないことを直感的に知っていた。もし、坂本のように徳川を残していたら、その後の明治革命は進まなかったはずだ。隣の中国の清朝と同じように100年間、内戦状態になった。
　西郷の功績は、徳川を追放してその後の版籍奉還と廃藩置県ができたことだ。徳川を残せばこれがスムーズにできない。つまり、武家を完全に追放できない。辛亥革命後の中国のように内戦状態になった。

　オレは坂本を殺したのは西郷だとにふんでいる。坂本の居場所を数人の者しか知らない。あのときの1ヶ月間、日本の政治状況は、幕府はもうない、かといって新政府もまだできていない。いわば政治空白の無政府状態だった。
　その坂本の居場所を人を使って見回り組にリークしたのだ、と思っている。

　坂本はやさしい、それが彼の最大の魅力だが、彼は政治家に向いていない。政治家とは今でも人殺し、だから。

　福山もやさしい、二人は似ている。

　戦争と革命は人殺しだ。

　アノ無政府状態で一番、発言力を持っていたのは坂本だ。なぜなら青写真を明確に持っていたから。どのように日本を造るかは誰もわからない、坂本だけが、船中八策で提示できた。その後の明治政府の指針となった。

　だから、坂本が一番の邪魔者になった。坂本は徳川をも入れようとしたから。

　日本で革命家は不比等、信長と西郷、この三人しかいない。

　信長を殺したのは秀吉、これは後の話。