- 名前
- しあん
- 性別
- ♂
- 年齢
- 64歳
- 住所
- 愛知
- 自己紹介
- 音楽、映画、スポーツ、ドライブなどなど好きなこといっぱい 好奇心旺盛なことだけがとり...
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Tales of Planet Tecle 8
2010年03月22日 23:25
第一章 アファレスとウヴァルス
第三話 シフォル 2
翌日二人は交易でにぎわうシフォルの街をあとにし、大きくゆったりとした流れのスクロ川に沿って次の目的地ヌハの街に向かって歩き出した
出発のときにシフォルから
「決して急ぐでないぞ
急げば逆に遅れるということも多くある
霧の谷にまっすぐつながる道はない
だからまずはヌハへ向かうと良いだろう
ヌハまでは何事もなければゆっくり進んでも10日ほどあれば行ける
主のヌハには昨日のうちに鳥文を飛ばしておいたから、ゆっくり休む場所も用意してくれているはずだ
ゆっくり休むと共に、そこから先にある森の中で必要な装備もヌハがちゃんと用意してくれておる
まあ、コトルーとハルムがちゃんと準備しておいてくれておるし、わしが用意したものもあるからヌハにはお前さんたちをゴセの滝まで道案内するようにとだけ伝えてあるのだがな
だから、お前さんたちだけで無理をする必要は無い
もし無理をすれば必ずあとで後悔することになる
それだけを肝に銘じて行くがよい
気をつけてな」
と言われていたので、二人は無理をすることなくゆっくりと歩いていた
眼下には滔々と流れるスクロ川があり、対岸の見えない巨大な川は水の色を除けば海の景色とまったく変わらない眺めだった
「霧の谷ってどんなところなんだろう?」
エノアは遠くを見るような目で不安そうにそう言った
「虹の生まれるところ・・・
あまりにも遠すぎて想像もできないな」
イツキスはそう言うとエノアの前に回り、向かい合って
「なあ、腹減らないか?」
と訊いた
エノアは
「さっき食べたばっかりじゃない」
と笑った
この先いくつもの街を通り抜けてヌハの待つ街にたどり着くのはまだまだ先のことだ
雨さえ降らなければ予定通り10日間でたどり着くことはできるだろう
そんな安心感もあって二人の足取りは軽く、この先に何が待ち受けているのかということをお互いに口にするのを避けているかのように陽気に歩き続けていた
そんな二人がヌハへ向かってのんびり歩いているそのとき・・・
シフォルは一人リリルの街へ向かって猛然と走っていた
シフォルの街は交易の町であるが故に、あらゆる人たちがあらゆる場所から集まってくる
もちろんこのアテネア大陸だけでなくウヴィラ大陸からも、多くの人がこの街に交易のために来ているのだ
だから自ずと情報も多く集まってくるし、逆にこの街で見聞したことはその真偽にかかわらずあっという間に世界中に広がっていく
そして今、シフォルは街で得た情報があの二人の若者たちの旅路と深く関わっているのかもしれないと思い、居ても立ってもいられなくなってリリルの街へと急いでいた
リリルからの鳥文に聞かされた内容と、霧の谷へと向かい旅立っていった二人の若者をその目で見た以上、どうしても今この世界で何が起きようとしているのかを確かめずにはいられなかったのだ
コトルーとハルムに詳しい話を訊くしかない!
その想いだけがシフォルをリリルの街へと走らせていた
普通のウヴァルスの足ではシフォルからリリルまではどんなに急いでも3日はかかる
その道のりをシフォルは1日で走りきる程のペースで猛然と駆けて行く
自分にもスプルルのように翼がついていたら・・・そう思いながら、眠りもせず、休むことなくシフォルは走り続けた
そして疲れを知らぬその強靭な身体を躍らせながらシフォルがリリルの街にあるコトルーとハルムの住むその家にたどり着いたのは、ヌハへと向かったイツキスたちを見送った日の翌日の夕方だった
つづく・・・
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https://www.youtube.com/watch?v=HsDORDYBcwA
このデジログへのコメント
> 美空さん
あはは…3時半の足跡にはビックリしたよ!
シフォルはどんなことでも自分自身の目や耳で確認しないと気が済まないみたいですね(^-^)
> ゆうらさん
虹はどの世界に行ってもいろいろな伝説を生み出すパワーを持っていますね
それはこの物語の世界の中でもやはり同じようです(^○^)
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