Tales of Planet Tecle ５

第一章　アファレスとウヴァルス

第一話　エノアとイツキス　４


「イツキス、エノアが生まれる前にリリルの家に一緒に行ったときのことは覚えているな？」

と、父コトルーが話し始めた

「はい、あの時はお父さんとお母さんとでリリルと長く話し込んでいました」

「そう、そのときにリリルと話していたことが起きようとしているらしい」

「どういうことですか？」

「昨日の昼間にリリルからの鳥文が届いたんだ
それによるとお前とエノアの力を借りたいということだった
そして、それは１０年前のあのときにリリルから聞いた事態に関係するものだということだった」

と、コトルーは言った


この星には手紙や電話などの通信手段はなく
普段の連絡は風文と言われるものを使っていた
これは、大きな丸いパラボラアンテナのようなものを使って会話するもので
お互いのドームの向きや角度をきっちり合わせれば
目の前にいる人と話しているのと同じように、少し遠くにいる人とも話すことができると言うものだ
風の無い穏やかな日なら、５０mほど離れた丘の上にある家同士で何の問題もなく普通に会話ができた

しかしもっと遠くから連絡したいときには、先ほどの会話にも出てきた鳥文を使う
これは、翼を持つ種族スプルルに手紙を託し、目的地に送るものだ
ただし、優秀なスプルルを選ばなくてはその手紙がいつまでたっても目的地に届かないということも多くあった


そして、その鳥文はリリルがスプルルに託してからすでに３ヶ月を過ぎており、
コトルーが想像するにはすでに急を要する事態になっているのではないかということだった

そこでコトルーは、

「お前たちももう十分大人になった
だから二人でこの鳥文に書いてある地へ行ってもらわねばならん」

と、心配そうに二人を見つめる母ハルムの横で言った

「どこに行けばいいのですか？」

とイツキスが訊くと、

「ここからスクロ川に沿って山のほうに登って行き、
パレロ渓谷を見ながら迷いの森を抜けるとポラの洞くつがある
その洞窟を越えたところに霧の谷というところがあるのだが、
どうやらそこで起きていることが、いつかこの地に災いをもたらすとリリルは考えていたようなのだ」

「霧の谷･･･虹の生まれるところ･･･ですね」

「そう
アファレスの聖地として知られているところだ
ウヴァルスでその地に立ったものの話は聞いたことがない」

コトルーは深刻な面持ちでそう言った

「リリルは僕とエノアにそこに来るように言っているのですね」

とイツキスが訊くと、

「その通りだ
お前とエノアの力が必要なのだと
おまえたちでなくてはならんのだと言ってきている」

「それならば迷うことはありません
この街のウヴァルスはリリルにいつも助けられてきました
その恩に報いるためにも僕たちは行かねばなりません」

イツキスがそう言うと、コトルーは

「よく言ってくれた」

と答え、ハルムに向かって

「すぐに旅の支度をしよう
かあさん、二人の旅の用意はできているな？」

と訊くと、

「もちろん、１０年前のあのときからずっと準備をしてきたのですから･･･」

と、ハルムは少し寂しそうに答えた


つづく･･･

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やっと両親の名前が決まりましたｗ

二人が旅立つときも近づいてきています


でも、最近ずっと音楽が進化していないのが申し訳ないです


ひとつ前までのお話は　http://cyan00aeef.blog48.fc2.com/　にあげてあります

この物語の少し詳しい設定や若干大きい地図もそちらにありますので、あわせてお楽しみください

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