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Tales of Planet Tecle 7

2010年03月15日 21:50

Tales of Planet Tecle 7

第一章 アファレスとウヴァルス

第三話 シフォル


旅に出た二人が最初に目指したのはスクロ川の河口にある街シフォルだった

スクロ川はテクル星最大の川で、河口付近では対岸が見えないほどの川幅がある
シフォルの街はそんなスクロ川の河口のすぐそばにあって
いろいろな街から来る人たちが多くの作物を持ち寄り交易をするところになっていた

この星では通貨というものは無く、物々交換が基本である
そして、この星に住む人々は植物から取れる果実や穀物などを主食としていた

だから、たとえば布を織って服を作ると、それを穀物二袋と交換するとか
南で採れる果実と北で育つ穀物を交換するとか・・・

特にこのシフォルの街には、ウヴィラ大陸からの交易品も港に届き
多くの人が集まってくる交易の街なのだった


そしてここで大事なことを説明しておかなければならない

この星の生き物たちはすべて、動物を殺してそれを糧にすることができない
なぜならば、殺した相手の余命分だけ自分自身の寿命を縮めてしまうからだ

たとえば、余命20年の人を殺害したら、その人は自分自身の寿命を20年分失うことになる
大人が子供を殺したりすると、殺した本人も即死・・・なんていうこともあるのだ

だから、この星には意思があると言い伝えられてきた
殺しあいをすると自らを滅ぼすと言う星の意思なのだと・・・


そして二人はそんなシフォルの街に住むアファレスを訪ねた

この星の街の名前は住んでいるアファレスの名がついている
だから、この街に住むアファレスはシフォルである

シフォルは今342歳だと言うことだったけれども、見た目は40歳前後の屈強な男性の姿をしていた


「良く来なさった」

シフォルは二人を歓迎した

「話はもうずっと前からコトルーから聞いておるよ
リリルからの鳥文がコトルーに届いたらしいという話も実は知っておる」

と、シフォルはおかしそうに笑った

イツキスは不思議に思って

「どうしてそんなことまでご存知なのですか?」

と訊くと、シフォルは大笑いしながら

「あのスプルルはな、とんでもない出来損ないでそこらじゅうの街のアファレスのところに行っては
リリルから言付けられた内容を相手がコトルーじゃなくても全部話して聞かせたそうだ

だから、この界隈の街のアファレスは全員がこのことを知っておるよ
それにしてもまた大変なことを背負わされたもんじゃて・・・」

と言うと、シフォルは大笑いしていた顔を少し曇らせた

でも、そのことについてイツキスが詳しく聞こうとしても、シフォルは何も教えてはくれなかった


そこで、二人はこれから先目的地の霧の谷に行くまでの詳しい道のりをシフォルから説明してもらい、
詳しく描かれた地図と正確な磁石を手に入れて、すぐにでも出発できる準備は整った


「ありがとうございます」

とイツキスが感謝の言葉を述べると、シフォルは

「お前らが背負ったものから比べればこんなことはなんでもない

まずはこのままスクロ川に沿って登って行き、マリロ川との分岐点にあるヌハの街に行けば
きっとヌハがお前たちの手助けをしてくれるだろう

まあ、そこに行き着くまでにはいくつもの小さな町を抜けていくことになろうが、よほどのことがない限り留まるほどのところはないと思ったほうが良い

そして、ヌハが案内できるのはチロ渓谷にあるゴセの滝までだ
リルウヴァルトの森に入ってしまったら、どんなに詳しく描かれた地図があっても簡単には通り抜けられん
だから別名迷いの森とも呼ばれておるのだがな
そこから先はお前たち二人で力をあわせて切り抜けるほかは無い

今日はもう遅い、ゆっくり休んでいくがいい」

そういうと、シフォルは二人のためにおいしい料理と休むための部屋を用意してくれた


二人きりになるとエノアは

「ちょっと不安だな・・・お母さん泣いてたし、さっきのシフォルの言葉も・・・」

とイツキスに話しかけてきた

「良いかいエノア、僕たちにはもう不安だから行かないっていう選択肢は無いよ
どんなことが待ち受けていようとも先に進むしかないんだ

それはリリルの意思だし、僕はそのリリルの意思に従う」

とイツキスが答えると

「リリルか・・・私は会ったこと無いけれども、お兄ちゃんがそこまで言うのなら
私もそのリリルの意思に従ってみる」

とエノアはきっぱりと言った


そして翌日・・・


つづく・・・

*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。. .。.:*・゚゚・

https://www.youtube.com/watch?v=HsDORDYBcwA

このデジログへのコメント

  • しあん 2010年03月15日 23:03

    > 美空さん

    人と人とが殺しあう世界はうんざりなんですよ
    だから無理は承知の上でこんなルールを作ってみました
    あとは少しずつ目的地に近づいていきます
    いつも励ましてくれてありがとう!

  • cocoface 2010年03月15日 23:22

    素敵なルール♪ イツキスの覚悟が伝わって来ます、と同時に彼の決断力エノアの感性と素直さがとっても魅力

  • しあん 2010年03月16日 10:15

    > cocofaceさん

    書き始めて1カ月半で、やっと登場人物たちに個性が出てきました
    全てがまだ手探りのままですが、夏頃までには完結予定です
    なげぇよ!とか言わないでね(^-^)

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