- 名前
- ヤヨイ
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- 年齢
- 51歳
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- 大阪
- 自己紹介
- 主にログ交流を愉しんでます♪ 読むのも書くのも大好きなので 気になったログには フレ...
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山へ登りましょう お兄さん(3)
2009年04月18日 16:52
バタバタと 大音響のヘリの迎えに
彼女は
隊員により担架に乗せられ
そこを後にする
「群れ」から離れて そろそろ5時間
彼らは 花を満喫し 今夜の塒に到達し 一息ついている頃だろう
もう少しで 憧れの山の頂きに立ち
縦走の果てには蝶が丘のお花畑だった。。。
大量に咲き誇る植物を 目の当たりにできる目前での事故
「本当についていない・・・・」
彼女は そう一人ごちて 上空へ登る不快が残る耳を心配した
「でも また来られる! それまで常念 待っていてね。。。」
これが 山登りと呼べる行動の最期になる事と知っていたなら
どんなに止められても 彼女は起き上がり 窓に張り付いたことだろう
北アルプス 大いなる峰
1894年に 常念岳の山頂にたった ウエストン神父にして
「松本付近から仰ぐ 全ての峰の中で 常念岳の優雅な三角形ほど
見る者に印象を与えるものはない」
と言わしめた 彼女の長年の憧れのピラミッド
あれから もう6年が経つ
必死で子育てをし
ときには 慣れないパートで泥のように疲れ
常に愛想笑い 「お付き合い」との折り合いに
ときには肩を怒らせ
「自分」を押し殺して
主婦として 母としてだけ やり過ごしてきた日々
きっかけは 小さいものだった
山への本格的な思いは その十年後に始まるのだが
その突破口は 町内の運動会だった
色褪せた写真とともに 彼女はいつでも
あの日を思い起こせる
夫に
「お前は運動神経が皆無だから 怪我しない程度にな」
と さんざん嘲笑を浴びての初参加
人数が足りないと いきなりの打診に
「越されてもいいのならば。。。」と 班別リレーに出た彼女
夫は 本部席にいて コーナーを回ってくるまで
彼女に気がつかなかったらしい
3位 しかも前二人とは かなりの差でもらったバトンを
落とさないよう 転ばないよう
しっかと 歯を食いしばって 走り出した
スルスルっと 前に身体が進み
計算したかのように 日頃 自分の身体能力をあざ笑う夫の目の前で
彼女は 一位をも捉えて かろやかに抜き去った
「凄い!速いじゃない!知らなかった~!
見事なアンカーだった!」
戻った彼女は 同班の皆から賛美を受け
自分でも まだ興奮さめやらぬ心身を押さえつけていた
肥満児で鈍足の娘が グイっと抱きついてきた
「母さん!すごい!格好よかった!足速いんだね!すごかった!」
語彙の少ない娘が ほっぺを真っ赤にして 口を止めない
「腕を大きく振ると その分 体も心も前に出るんだよ」
女学校時代 中距離ランナーとして 毎日走りこんでいた 美しい友人
彼女が 後輩に残していた言葉が バっと蘇った
(走りたい もっと走ってみたい 一人でできる趣味があってもいいんだ
力をつけて そして いつか いつの日にか。。。。)
一位の賞状を持ち 真ん中で笑っているセピアの写真が
いつも彼女の胸にはあった。。。
早朝に 夕方に 少しの時間を作り 彼女は海を走る
砂に足を取られ 平坦なフィールドより相当 消耗する
何故 自ら こんな息のあがる苦しい試練をしているのだろう
ランナーズ・ハイを感じる筈もなく いつも自問自答しながらの日課だった
「それは 山に行くためでしょ?
夢にまで見ていた あの尾根に立ちたくはないの?」
彼女の足と心は また 前へと動き出す
日本アルプス
山と渓谷社発行の アルペンカレンダーをささやかな贅沢として買い求め
その年度が過ぎても 一冊たりとも捨てられず 絵葉書にも使えず
大事に 並べていたのだから
その夢 永遠の憧憬
自分次第では夢にしなくて良いのかもしれないと
体力と根気をつけるため
懇々と 走る40代後半の女
その間 彼女は主婦でも母でもなく
ただ 山を愛して止まない 一個人に戻れた
まず 最初に息子と挑んだのが 白馬
憧れの三山を縦走できるよう かなりの筋力もつけた
コース取りは いくらでも選択肢があるので悩むが
息子に任せ 彼の練った王道ルートにした
白馬駅から 猿倉を目指す
午後2時には雪渓からのアタックは制限されてしまうので
時間配分に注意し 大雪渓から花畑を経て 白馬荘に泊まる
初めて赴いた アルプスの麓
溢れる幸福を噛み締めて 彼女は息子と 後になり先になり登った
アイゼン(登山靴に着用するスパイク)をつけての大雪渓 上の方で小さく蠢いてみえる黒い粒も 自分同様にてっぺんを目指す 山の仲間なのだと気がついた 気温のせいだけでなく身震えが止まらなかった
https://www.youtube.com/watch?v=rmlBQ0UWiww
こんにちは!いい風吹いてましたよ~
100メートル先 さっき滑落者がでたので 用心してね
もう少し!頑張って
行き交う山の挨拶
苦しい中にも 満たされてゆく種々の想い
笑顔しか そこには。。。ない
幸せだとか 充実しているとか
安易な言葉しか浮かばないが 絶頂に喜ばしい3日間
次は 朝日岳
来年は 穂高連峰
燕岳から槍へ
写真やテレビに魅了され
「いつか 登ってみれたなら」
という脆弱だった筈の要望が 夢でなくなった50代
南 中央 北アルプスと
計画は尽きない中 心強いパートナー且つブレインの息子は
自分の家庭ができ 子育てに 仕事に 年二回の登山が難かしくなってゆく
流石に 単独登山は夫に止められるので
集団行動を強いられるのは堪え
また決して安価ではないが ツアーを妥協策とした
老若男女 今更ながら 山人口の多さと一貫性のない愛好者に
彼女は驚かされる
年会費と月々の積み立て金 その費用内で 年二回 山へと向かえる
まとめている地元で雑貨屋をしている二代目 彼はカナダの山を
制覇し ロッククライミングを主に捉えているような山男なので
安堵して 何でも聞けたし 頼れるリーダーだった
自分を含め年配者も多いので 決して無理のない日程の中
要所は忘れないルートとトレッキング
参加した全コースが 楽しいツアーであった
丸2年 3回目のコースは 念願の山へのアタックだった
剣 槍 穂高
誰もが耳にはする名山ではなく 彼女は 実は常念岳に登りたかった
その佇まいに魅せられ 写真を飽かず眺めた
ピラミダスな山 常念
少女時代からの 夢の頂きに ついに手が掛かった。。。
そんな至福が一転し
かの三角山を間近に 空から差し戻される羽目になろうとは
彼女は勿論 誰ひとり 知る由もなかった。。。。
あんまり長いと 警告されちゃう(?)のか?
(もう鑓でも鉄砲でも 持ってこ~い!!大顰蹙の中 更に続く。。。。)
!自己満足だけで綴っている 珍しく100%真面目 オチなしのログです
コメントは無理なさらないでね~
でも まだまだ書かせてね~(爆)
このデジログへのコメント
山に入ると天上界と下界とはっきり分けられるのがいいですよね。景色、天候、全てが違う、神々の住む場所…
山に登るととても神聖な気持ちになります。
あんまり長いと警告?(゚o゚;)ノノドキっ!
あんまり長いと警告されちゃうの?
無駄に長くしてる訳じゃないんだからいいじゃんね。変なの~
常念の夜景が思い出させちゃったかな?数少ない山行を思い出しながら読んだ 常念岳の四季載せてみようかな
好きなように書けば良いやん(^_-)-☆
でも 目前で…(>_<)
残念やね(:_;)
> やじろべいさん
下界という言い回しが そう 神の領域なのだと
語っているようですね
何処までが入り込める部位なのか その見極めに驕り
還らぬ人もあったことでしょう
雪渓 懐かしい
> noaさん
うふふ 今日 軽く訂正いれておきましたが
デジから警告が来る訳ではないの。。ごめんね 阿呆書きました(>_<)
noaさんもお山登り経験者? 空気と空の近さに感動するよね
> さやかさん
そう「いつか」の気持ちは萎ませてはいけない
いつでもできると 後回しにしたがため 二度と可能性を失くす
事柄だってあるものですね
私は明日のことも 今日やるせっかち♪
> nekoyanさん
あはは 本当にいっつも長くて済みません<(_ _)>
滑落者(笑) 雪渓ではあまり怪我も事故扱いでもなく 普通に語るようです
画像のように滑る輩もいるくらいなので~♪
> ミっキーさん
あう~ごめんね(>_<)今日ソフトに訂正いれておきましたが
警告の件 適当な思いつきで書いちまいました
失礼~
無駄に長くない?嬉しい
書くと暴走止まらなくて(笑)
> あすなろさん
常念岳の写真 見たいですね
しかも四季折々の顔があるのですか♪
いつの日か よろしくお願いします
何とかして 彼女(笑)に見せてあげたいと願います<(_ _)>
> 赤ワインさん
まさに あと二時間のアタックで往年の憧れの山のてっぺんだったのに
何故か ヘリコプターでの下山
見せびらかされて 直前で取り上げられた子供の玩具のよう。。
残念でした
> ピロすけさん
母は大好きな長年の憧れの山への入り口で 怪我をして
ヘリコプターで戻されてきました
電話でドラマのように語って聞かせた話しは 本当にそれっきりの登山話しとなったのです。。
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