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すべての美しい馬

2008年07月31日 13:17

すべての美しい馬

コーマック・マッカーシー国境三部作の第一部「すべての美しい馬」(原題 All thepretty horses)を読みました。
 このところ、洋書翻訳書も含めてコーマック・マッカーシーばかり読んでいるので、少し飽き気味ではあります。もちろん、Child of Goodなどは国境三部作とはかなり毛色が変わっていたのですが、「越境」とこの「美しい馬」は三部作の中の構成員だけあって、似通っています。
 年若い青年が馬に乗って、国境を越えてメキシコに行き、恋をしたり(越境ではなかったけど)、ひどい目にあったり(「美しい馬」で主人公が会う暴力も相当なものです)して、アメリカに帰ったけれど・・・という筋書きは同じです。

 「美しい馬」では、馬を愛する少年が、おじいさんが死んで牧場が人手に渡ることを知り(母親が手放すのですが、青年と母親は疎遠です。そして父親も日本軍捕虜になった経験から、人生をなげているようです)、友人とふたりで馬で(!)、メキシコに行き、牧童になるのです。
 その道中で、さらに年が若いけれどけんかっ早い、しかも大きな美しい馬にのった小僧といっしょになり、彼が雷を怖がったことから馬を逃がしてしまい、それを見つけたものの・・・という騒ぎに巻き込まれてしまいます。
 主人公と友人の二人はとある大牧場住み込み、彼らがしたかった生活を始めるのですが、主人公は牧場の娘と恋に落ちてしまうのです、それも激しく情熱的な・・。
 それを知った牧場主はちょうど、例の小僧やらかした事件を追ってきた警察に二人の少年を渡すのですが、刑務所裁判を受けていないから留置所なのでしょうかね?)で暴力洗礼を浴び・・・・。
 あの牧場主の娘との間を引き裂くきっかけとなった牧場主の大伯母の人生が述べられるシーンが印象的です。メキシコの歴史が彼女によって語られるのです。
 その後の、主人公の復讐(なのか?)譚はむしろ、トーンが弱まります。

 マッカーシーを一躍有名にした小説であり、これまたヒットした映画の原作です。読んで損はありません。次は「平原の町」を読むつもりです。

このデジログへのコメント

  • tarashi 2008年07月31日 20:19

    > ☆リリィ☆さん

    僕は通勤に片道1時間以上かかるので(もっとかかる人もたくさんいらっしゃるでしょうが)、以前はiPodで映画を見てましたし、今はもっぱら読書をしています。

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