電車で妄想（つづき）

「あああっ」というような、声にならない声を上げて逃れようとする彼女。
でも、逃げられるわけがない。
両手は頭上でしっかりと拘束され、わずかに体をよじるだけでは、背後に立つ男の手から離れることすら出来ない。
男の手はあくまで冷静に、まずいちばん上のホックを外す。
プツッという音…いや感触が、彼女の背中に伝わる。
続いて、チーッと背中のチャックが下げられてゆくのが、分かる。
夏なので、サマードレスの下に着けているのは、たった二枚の小さな下着だけ。
彼女の体を守るものは、ほとんどない。
チャックを下げられ、Ｖ字型に開かれたサマードレスの間からは、白い肌と、そこを横切るブラジャーの紐だけがのぞいている。
男の目の前に、シミひとつなく、日焼けもせず、あくまでも白い背中が、さらされている。
なのに、彼女は、それを隠すことも出来ない。
逆らうことも出来ない。
弱々しく抗議するようなうめき声を上げ、懇願する言葉も、ほとんど言葉にすらならない。
お願い…やめて…助けて…誰か…お願い……
（つづく）