- 名前
- イチゴちゃん
- 性別
- ♀
- 年齢
- 43歳
- 住所
- 茨城
- 自己紹介
- 嫌がらせを受けていたのでコメント返しませんが それでもいいという方仲良くしてください...
JavaScriptを有効にすると、デジカフェをより快適にご利用できます。
ブラウザの設定でJavaScriptを有効にしてからご利用ください。
振り返って~その3
2022年04月07日 11:19
その2からの続きです
店内から出てくるお店の人
手際よく給油ノズルをセットし、話しかけてくる
スタンドの店主(50歳くらい)「あんたら、どこから来たんだい?」
イチゴ「プシェミシルから来たの。ブリテンのロンドンに帰るところよ」
店主「この道を行けば、すぐにドイツに行けるぜ。ドイツは通るんだろう?」
イチゴ「この、前の道?通る予定よ。教えてくれてありがとう」
店主「どれ、パスポートは持ってるのか?あるなら見せてくれ」
イチゴ「あるけど、どうして?」
店主「この目の前の道を行っても、国境警備は無いんだ。ポーランド側から向かう車は、全部俺が代わりに出国手続きをするのさ」
イチゴ「そうなの。私はドイツに入ったら何をしたらいい?」
店主「このまままっすぐ行くと、駅がある。その横に小さな建物が建ってる、それが入国者用の詰所だ。
そこでパスポートと、今から俺が作る書類を提出すればいい」
イチゴ「書類を作ってくれるの?ありがとう」
店主「気にするな、見たところ、女性2人で旅してるってところか?ああ、悪い意味で聞いたわけじゃない。
ここらを女だけで車で走るのは、あまり見かけないからな」
イチゴ「この国では女性は車で旅をしないの?」
店主「大体、若い子は飛行機で行くか陸路でもフランクフルトの方へ行くよ。
こんな辺ぴな街を通るなんて、あんたたち外国人だろ?度胸がないと来ないぜ」
イチゴ「そうなの?私は日本の地方で育ったから、こういう風景は大好きだし
もし暮らすならこういう所にするわ」
店主「あんた日本人なのか?」
イチゴ「そうよ」
店主「それを早く言ってくれ!!俺のじいさんは、シベリアで内戦に巻き込まれた孤児だったんだ!」
イチゴ「??」
店主「あんた、何も知らないのか?」
イチゴ「知らないって、何のこと?」
店主「まあ、あんたは見たところ若いから知らないかもしれんが。もう100年以上前の事だ」
店主「ロシア圏が今よりも大分広かった時代の話だよ。ここらもロシアの一部だった時代だ」
店主「社会主義ってものを確立させたい奴らと、そうでないやつらが争ってな。たくさん人が死んだんだ」
イチゴ「そうなの。それは悲しいことね」
店主「ああ、全くだ。俺のじいさんはその内戦で両親を亡くしてな。食い物も着るものも無く
寒さと空腹で、野垂れ死ぬのを待っていた」
店主「もうだめだ、と思った時に見知らぬ大人たちが食い物とベッドを準備してくれて、じいさんを保護してくれたんだ」
店主「いつも見るような容姿とは違うその人たちに、じいさんは戸惑った。初めて見るその人たちこそ世界で唯一、日本からじいさんたちを助けにきてくれた日本人だったからさ」
店主「俺たちポーランド人やロシア人などと違い、見慣れない容姿に戸惑いながらも、優しく迎えてくれた日本の人たちにじいさんはとても嬉しくなったんだ」
店主「そのまま大きな船で日本に行って、服を貰ったり歌を教えてもらったり
じいさんにとっては夢のような日々だったといつも言っていた」
店主「何か月か経って、今度はじいさんを日本からポーランドに船で送ってくれた。
じいさんはいつも言ってた、”ロシアもドイツも、誰も自分たちを助けてくれなかった。日本だけがでっかい船で
俺たちを迎えに来てくれて、食事や服やお菓子をくれた。世界はクソ共の集まりだが、日本だけは違う!”ってな」
店主「ポーランドに戻ったとき、じいさんはまだ8歳ほどだった。そのまま孤児としてある家庭に迎え入れられ、勉強を頑張り事業を興した」
店主「今の俺たちが生活できる基盤を、じいさんは俺たちに残した。このガソリンスタンドがまさにそれだ」
店主「じいさんは事あるごとに”日本人だけは素晴らしい””日本人だけが紳士だ”って、あんたたちのことを褒めたたえてた。
そりゃそうだ、命の恩人なんだからな」
店主「だから俺の家族はみんな、日本人には惜しみなく優しくすると決めてるんだ」
イチゴ「とても素敵な話ね。聞かせてくれてありがとう」
店主「大したことじゃない。あんたたち、ガソリン代は要らないからな。これくらいのことで金を頂いたら
天国に行ったときに俺がじいさんに叱られちまう。”お前は恩人である日本人に金を払わせたのか?それでも俺の孫か!?”ってな」
イチゴ「ありがとう、でも支払わなかったら私が申し訳ない気持ちになっちゃう」
店主「いいんだ、これくらいさせてくれ。じいさんはずっと、日本に恩返ししたいって言ってたんだ。
それに、あんたたち本当は旅行じゃないんだろう?」
イチゴ「どうしてそう思うの?」
店主「その子(マリアのこと)、見たところロシア人だろ?」
イチゴ「そうよ」
店主「・・・ウクライナから来たんだろ?」
イチゴ「どうしてわかったの?」
店主「先週、ウクライナにロシアが来たことは知ってる。ここから北の街でも似たような人たちを見かけたからな」
店主「奴らの攻撃から逃げるために、ここを通ったんだろ?」
イチゴ「そうなの。この子は何も悪くないでしょ?まだ学生の女の子なんだから」
店主「そんなのわかってる。あんた、この子を助けるために来たのか?」
イチゴ「この子だけじゃないよ。もう20人、既に飛行機で脱出させたの」
店主「なんとなくだけどな、そんな気がしたんだ」
店主「あんた、じいさんから聞いた”じいさんの初恋の人”に特徴がそっくりなんだ。よく笑って、華奢で、陽気な美人。
ほら、あんたまさにピッタリだろ?」
イチゴ「そうなの?じゃあたまたま得したと思えばいい?」
店主「ああ、そう思ってくれ。ちなみにじいさんの初恋の人は、日本でいつも自分の面倒を見てくれた看護師なんだってさ。
”その人の横にいつも茶色髪の女の子がくっついて離れない、きっと彼女はものすごく慕われてたんだろう。”そう言ってた。
今のあんたが看護師(イチゴ)、その子が茶色髪の女の子(マリア)ってところだ」
イチゴ「へぇ~。じゃあ、あなたとあなたのおじいさんにものすごく感謝して
ガソリン代はありがたく頂きます。ありがとう!」
店主「少しでも恩を返せて嬉しく思うよ。あんたたち、急ぎじゃないのなら俺の家に泊まっていかないか?
安心してくれ、俺には妻も子どもも孫もいる、ただあんたたちに食事を振舞って、少しでもくつろいでもらいたいだけさ」
イチゴ「ありがとう。でも、ロンドンで私の家族が私たちを待っててくれているの。先週、何も伝えないで私1人だけこっちに来たから。安心させてあげたいの」
店主「そうか、無理は言わない。そうだ!ドイツ側で手続きをするんだろう?俺が一緒に行ってやる。あいつら、凝り固まった考えだからな。書類の不備だ何だって喚いて、入国者を迎えなかったりするからな」
イチゴ「ありがとう!それはとても頼もしいわ」
店主「気にするな。どれ、俺の車に付いてきてくれ」
物語はまだまだ続きます
このウラログへのコメント
まさかロシア革命の時の内戦の話が
ここで出てくるとは…!
当時は旧ロシア帝国とソ連軍で
激しい内戦があったのですが
日本人が助けに行っていたのは
知りませんでした!
情けは人の為ならず、ですね涙
素敵な出会いですね
イチゴちゃんの人柄がいつも素晴らしい出会いを産むのでしょうね
既にロンドンに戻られてるのは分かっていても
「気を付けて旅してね」の言葉を送ります
素敵なお話ですね。
続きが気になって今夜眠れないかも(笑)
ウルっと来ました。
昔の日本人は骨のある人、義理、人情に熱い人が多かったな。
今の日本人は、経済のみにひたすら走る人々の、なんと多い事か。
戦時中でも日本人の美談が残ってるなんて、そんな話をヨーロッパで聞けるなんて偶然ある?凄いなぁ!
知らなかった~
”100年前のシベリアからの救出劇! 765人のポーランド孤児と日本人の奇跡の物語”をインターネットで見つけて読みました
泣けました
とてもいい話、ありがとう
続き待ってます
なんとまあ、数奇なめぐり合わせ。
神様も粋な運命を用意してらっしゃる。
続きを期待してます。
女神の周りには、いつも出会いと小さな奇跡があるんですね。pay forward で言うのかな。素敵なことです。続編、楽しみにしていますね。
コメントを書く