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論点のすりかえ

2007年02月05日 18:50

昨日のウラエントリについては、議論する気はありません。経験上、議論しても無駄だとわかってますから。
ただ、メールでいただいたご意見は、大変参考になりました。ありがとうございました。

大昔の本ですが「詭弁理学」(野崎昭弘著、中公新書)からの引用をいくつかすることでお返事と代えさせていただきます(原文はすべて縦書き)。

III詭弁
あてにならない話
 悪魔にもわからない より
(略)東京裁判でも、日本の弁護士証人に「彼は何を思っていたか」という質問をしたら、裁判長に次のようにたしなめられたという(戒能通孝『法廷技術』日本評論社)。
「他人の気持ちは悪魔にもわからないという諺が西洋にはありますよ。彼は何をいったか、何をしたかといってお聞きなさい。彼は何を思っていたかと聞いたって無意味です」

論点のすりかえ
 議論のはずみ より
(略)「男はつらいよ」葛飾立志篇で、学問を志したフーテン寅さんが、眼鏡をかけて町内をうろつきはじめた。
博「いいですか、勉強して眼が悪くなって、その結果、眼鏡をかけるんですよ。眼鏡をかけたからって勉強したことにはなりませんよ」
寅「気分だといっているんだ、気分から入るんだからさ。ね、新しい褌をつければ体だってキリッとするじゃないか」
博「今、褌の話してんじゃありませんよ、眼鏡の話しているんですよ」
寅「たとえ話よ。お前だってそういうことがあるだろ、新しい褌したら、その気持になるんじゃないか」
博「僕はパンツですよ」
寅「あ、そうか、お前パンツか。お前のようなパンツ野郎とは話合いにならないよ」
博「パンツはいてどこが悪いんですか」
 眼鏡論争からパンツ論争へ、はずみというものはおそろしい。しかしこれは必ずしも偶発的なはずみではなく、寅さんのほうから「仕掛けた」はずみである。(以下略

同じく、感情に訴える、より
 日本の法廷ではどうなのだろうか。(略)外務省秘密漏洩事件である。
 この事件のポイントは、「報道の自由」の解釈と、蓮見事務官(引用者注女性)から西山記者引用者注毎日新聞記者)に手渡されたいわゆる「秘密」なるものが、どの程度の秘密だったのか、ということである。ところが起訴状の中に「情を通じ」などという古い言葉があって、ジャーナリズムがとびついたために、世間の受けとめ方はかなり感情的になってしまった。それが検察側のねらいだったのかどうかは知らないが、西山記者の評判は落ち、「太吉だなんて、名前からして太い野郎だ」と息まく人まであらわれる始末である。これは近来稀にみる、みごとな「論点のすりかえ」である。
 (中略)「男女関係があったから悪い」というけれども、男女関係ぬきのスクープならさしつかえなかったのだろうか。(以下略
(引用終わり)

なお、外務省秘密漏洩事件については、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B1%B1%E4%BA%8B%E4%BB%B6 に解説があります。

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