【あいれすっ】導入部っす！

新進気鋭ちゃん。
ある日、何故か母さんに弟子入りした、新人な女優さんだ。
別に母さんが何かの免許皆伝というわけではないのだが、彼女は母さんに何かを見出だし、それを自分の技にするべく師事している。
常識的に考えれば、一般の主婦がその師事を受け入れるわけがないのだが、母さんは快諾。むしろ同居にまでしてしまった。
母さんの懐が深いのか、ばかなのか？

「あらあら、おはよー。ご飯出来てるわよ～、うふふ」
母さんの変装をする新進気鋭ちゃん。
おはよ、新進気鋭ちゃん。
「バレたっす。まだまだ師匠には届かないっすね～」
いや、多分僕は簡単に見破ってしまうよ。
「そうっすか？」
新進気鋭ちゃんは細やかな料理が得意だけど、母さんは料理がずさん……
ごちん！
あぅ～。
「あらあら！その通りよぉ～」
開きなおってる母さん。
「師匠を見習って料理下手になるっす！」
その努力の仕方は違うと思うよ～。

「おはよーなのだ。母さんがふたりいるのだっ。別に気にならないのだ……」
妹は朝が弱いから見分けが付かないが気にしてないようだ。
「今日のサラダは美味しいのだ」


妹は美味しければ何でも良いようだ。


「そういえば、この前のオーディション、どうだったのかしら？」
兄妹が学校へ行ってから、母と新進気鋭は一緒に皿を洗っていた。
「手応えないから、多分駄目っす」
「あらあら、だめだめねぇ～。だめだめ同士で慰めあえばどうかしら♪」
「誰がだめだめっすか？」
「もちろん、息子よぉ～。高2にもなって恋人のひとりもいないなんて、だめだめで母さん心配だわ～」
「そうなんすか。モテないっすかね～」
「いや、モテモテよぉ～。ただ、誰に似たのか鈍感なのよ～、うふふ」
「そうなんすか」
誤って皿を水の中に落としたのだった。

続く！