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3-次がある

2012年10月13日 22:00

3-次がある

女の同僚から歌が上手いと去年聞いていた男、カラオケは好きかと聞くと即座に女が答える。

大好き
「それじゃこれからどう?」
「ええ、連れて行ってください」

ここに来て既に2時間が経ち、7時半近くになっていた。
「子供さん、いいの?」
こういう時はどうしても子供が出てしまう。

「母と一緒なので電話すれば平気です。それに明日はお休みだから」
学校が休みという意味か、それとも会社が休みというのか男はどちらなのか解らなかったが、おそらく仕事という意味だろうと考えた。
・・・遅くなっても平気と女が伝えている


支払いを済ませ表の道を歩き始めると、女は携帯を取り出し何やら喋り出す。
彼岸も過ぎて日の暮れるのが早くなり、かなり涼しくやっと歩いても汗ばむ事もなくなって来た。
青々としていた桜の街路樹も葉が無くなっている。
週末とは言え、月半ばで人通りは幾分少ない様に見えた。
ビルのテナントの空きが目立ち、募集看板があちこちに張ってある。
飲食店が立ち並ぶこの横浜ど真ん中の官庁街である関内ですらこんな具合なのだから、他はもっと酷い。

「電車がある内ならいい事になりました」
・・・4時間以上、自由な時間があるわ
そう伝える女の目がカクテルの所為ばかりではなく、じっと見詰め誘っているのが男には解った。
このまま寿町ホテルに行ってもいいが、男は今日は止めておく事にした。
・・・次がある


10分ほど歩いて通りの角にある大きなカラオケに着くと、週末だと言うのに直ぐ部屋に案内された。
三人がけのソファがテーブルを挟んで二つ並び、どう見ても4・5人用の部屋で右側のソファの手前がドアから死角になっているのを男はすぐに見て取った。
飲み放題の3時間コース。
ほどなく料理が5・6品届き、女はダブルのハイボールで男は同じくダブルのソルティドックで二度目の乾杯をする。
二人きりになった所為か、女は背筋を伸ばし口数も少なく緊張している様に見える。

それならと、男は話し役に徹することにした。

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