バイアグラ

勃起不全治療薬バイアグラ。
いわゆる媚薬などと違い、医師の処方箋で薬局で購入できる治療薬だ。
日本では25mgのものと50mgのものが正規に販売されているが、本家アメリカでは100mgのものも販売されている。
ところで、私はひょんなことからこのバイアグラを手に入れる機会を得た。
手に入れたのは100mg錠だった。水色のひし形をした錠剤で、ファイザー製薬のロゴが刻まれている。
日本では承認されていない100mgの錠剤を服用したからといって、例えば勃起力が25mgより増大するのかと言えば、そうではない。
そもそも、バイアグラは性欲を高めるものではなく、簡単に言えば血管を広げて血流をよくする効能がある薬。
当然ながら、性的興奮を得なければいくらバイアグラを服用しても勃起はしない。しかし、勃起するキッカケさえあれば、バイアグラの効能で勃起しづらい人も勃起する。
また、精力増大の効果もなく、マムシドリンクを飲んで力が湧き上がるようなイメージを、バイアグラで得られえることもない。
さらに言えば、精液の生成を助長する効果もないので、バイアグラを服用したからといって、射精の量が増えたり、一晩の射精の回数が増やせるという効果もない。
こうも効果がないと羅列すると、バイアグラなんて大したもんじゃないと思われてしまいそうだけど、しかしそうではない。
ある火曜日、彼女は夕方近くに私のマンションに来た。
午前中にメールで来ることを伝え聞いていたので、簡単に部屋を片付けて、彼女が来るのを待っていた。そしてそのときに、私はバイアグラを試そうと、服用してみた。
100mgはもの量で何が違うかというと、効能の持続時間だという。100mgもあれば8～10時間は効能が持続するという。
一晩中セックスにふけるならいいかもしれないが、さすがに不必要だ。
私はカッターナイフで、錠剤を目分量で半分に割った。
服用して10分ぐらいだろうか、少し頭がボーっとする感じとなり、目に涙がたまるような感覚になった。顔全体が火照っているようだ。しかし、それ以上に不快になったり、体調が悪くなるような感覚はなかった。もちろん勃起もしていない。
とりあえず横になり、彼女が来るのを待つことにする。あと1時間もすればドアホンが鳴るはずだから。