- 名前
- ゆきんこ555
- 性別
- ♀
- 年齢
- 39歳
- 住所
- 大阪
- 自己紹介
- かなり感じやすいですww色々いじめられるの好き☆つまりMですね。 一回潮とか噴いてみ...
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ウチュウジン ~1~
2011年09月22日 22:49
その日も、わたしはトオルに電話をした。
不安になったり寂しくなったり誰かと話したりしたくなると、
トオルに電話をする。
そうでなくても、とりたてて何もないときでも、
月に1、2度トオルに電話をするのが、
わたしの大学生の頃からの週間だった。
「ねぇねぇトオル」
「何?」
「明日ね、ヤマトとデート行くんだけどさ」
「うん」
「ヤマトの様子が何かおかしいの」
「へぇ、どういう風に?」
「なんか・・・いつになく張り切っちゃってるんだよ」
「へぇ?」
「おかしくない?特に何の記念日でもないのにさ」
「うん」
「明日は俺に任せとけ、とか言ってるの」
「うん」
「おかしくない?」
「まぁ・・・ヤマトにしたら、な」
「でしょ?」
「でも、たまにはいいじゃん、そういうのも」
「うん、いいんだけどね」
「楽しんできなよ」
「うん。そっちはどう?」
「ん?相変わらずだよ」
「ミノリさんとは順調?」
「うーーん、喧嘩ばっかだけど」
「トオルは穏やかなのにね」
「それがイライラするらしいよ。のんびりしすぎだって」
「そう言われるの?」
「うん」
「そこがいいトコなのにね」
わたしがそう言うと、彼は笑った。
わたしは、彼の笑っている顔を思い浮かべた。
初めて会った時、
彼の周りの空気が、周囲と少し違うように感じた。
彼の周り1メートル四方だけ、
ゆったりとした午後の時間の流れになっていて、
その中心で彼がゆったりとくつろいでいるように見えた。
その空気が、わたしは好きだったし、
たまにその空気にひどく浸りたくなった。
それはたいてい、疲れているときや、
物事がうまくいってないときなど、
体をぽいっと投げ出して、
思いっきり力を抜きたいときだった。
そしてたいてい、
そんなとき彼に会ったり電話で話したりすると、
気分が落ち着いた。
だから、わたしは習慣的に彼に電話をしたし、
彼に会いもした。
「まったく、なんでミノリは分かってくれて
サキは分かってくれないんだろうね」
トオルのおどけた声がする。
「大丈夫、サキさんだって分かってるよ」
「でも、もうちょっと喧嘩がなければいいのにって思うよ」
「喧嘩するほど仲が良いってことだよ」
「そうかも知れないけど・・・」
「うん」
「なぁ、今度久々に会おうよ」
「いいよ。いつ頃がいい?」
「来週末とか空いてる?」
「金曜日なら、仕事帰りに駅の近くで飲めるけど」
「俺もその日ならいける」
「OK、じゃぁ金曜日ね」
「分かった。じゃぁまた」
「うん、お休み」
「お休み」
電話を切ると、軽くため息をついた。
ヤマトのこと相談してよかった、と思った。
トオルは、ヤマトとは高校から一緒だった。
だから、ヤマトのことをよく知っている。
わたしは、大学で2人と同じサークルに入って知り合った。
3年の冬からヤマトと付き合うようになってからも、
トオルとはずっと変わらない付き合いが続いている。
同姓のように仲が良かったけれど、
お互いそれ以上の関係になることはなかったし、
想像すらしたことがない。
それくらい、2人は仲がよく、
異性の友情が立派に成り立っていた。
ただ、トオルのまとう空気は、
あまりにも心地いいので、
わたしはたまにその空気に
いつまでも埋没していたくなる。
そんなとき、わたしはえも言われない切なさに
襲われた。
このウラログへのコメント
新シリーズも期待してます^^
ろんろんさん>> ありがとうございます☆
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