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久々の官能小説です

2011年04月17日 13:28

読みきり官能小説048:『始まりは雨』  第1話
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  ●雨の日の出会い


  傘を打つ雨の音が美沙は好きだ。

  雨が降れば傘をさす。傘をさせば、自分が隠れる。
  恥ずかしがり屋の美沙は、雨が降ると
  無理に自分を作らなくて済むので、ホッとするのだ。

  会社帰りに、通勤路にある公立図書館に寄るのが美沙の習慣だった。
  連日続く雨の中、今日も美沙図書館へと向かう。

  建物の入り口まで来て傘から顔を出すと、
  誰かが立っていることに気付く。

  あれは……。
  美沙は慌てて傘で顔を隠した。
  引き返すのは不自然だけど、
  傘をさして建物に入るわけにもいかない。

  こんな時、どうすれば良いのだろう……。



  ●一度きりのチャンスを…


  図書館の入り口に立っていたのは、戸田サトシ
  社内の女子の人気者だ。
  ルックスが良く、仕事が出来て、かつ独身

  美沙は、傘の陰からもう一度そっと彼の方を覗きこむ。
  彼の周囲に誰もいないなんて、会社では考えられないこと。
  チャンス……
  普段は引っ込み思案な美沙の頭に、そんな言葉がよぎる。

  傘を閉じ、サトシに戸惑いながらも近づく美沙
  「あの……」
  サトシ美沙をチラッと見る。
  「はい?」
  「……戸田さんですよね?」
  「そうですけど、えっと……」
  「経理部の牧田美沙です」
  「ああ……」
  素っ気ない反応に美沙はがっかりして、サトシから目をそらす。

  「雨、やみませんね?」
  「調べ物があって寄ったら、出てきたら土砂降り。まいったな」
  「じゃ、傘お貸しします」
  「えっ、でも君が……」
  「いいんです」
  サトシに無理矢理傘を渡す美沙

  美沙は、何をやっているんだろうと自分の行動に呆れながらも
  後には引けず、そのまま雨の中に駆け出した。



  ●悲しい誘い


  あっけにとられるサトシ
  「待って!」
  サトシが叫んだ瞬間、
  美沙滑る路面に足を取られ派手に転んでしまった。

  慌てて駆け寄るサトシ
  美沙の細い脚に泥水が思いっきり跳ね、無残に汚れている。
  「大丈夫?」
  サトシ美沙の手を取り、腰に手を添えて軽々と引きあげた。

  濡れた髪からしたたる雫が、美沙の頬をつたう。
  その雫を、指で拭うサトシ
  美沙は驚いて、顔を伏せた。

  本人は気付いていないが、
  ずぶ濡れの白いブラウスから下着が透けている。
  美沙を改めて見直すサトシ
  化粧気はあまりないが、色白でまつ毛が長く、
  整った顔立ちをしている。
  引き締まったウエストからヒップへのラインもしなやかで、
  サトシは腰に添えていた手に、ほんの少し力を加えた。

  そして、サトシは反射的に言った。
  「このままじゃ風邪ひくよ。近くのホテルで休んで行かない?」
  美沙は、伏せた顔を突然あげた。

  「私、そんなんじゃありませんから……」
  再び雨の中を走り去る美沙
  サトシは傘を握ったまま、茫然と立ちつくす。

  そして、自分の心の中に
  今まで感じたことのない気持ちが芽生え始めるのを感じていた。

------------------------続く----------------------------

 また今度

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