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お色気小説:『仕事一筋』  第1話

2011年03月17日 23:11

久々に小説です。お読みください。

『仕事一筋』  第1話
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  ●仕事にしか興味のない女

  翔子は35歳だが、
  若々しい容姿のせいか20代に見られることもあり、
  言い寄る男性も少なくない。

  しかし翔子が誰にもなびかないので、
  「仕事にしか興味のない女」と思われている。
  翔子には、男を寄せつけない理由があった。

  実は3年前、結婚まで考えていた恋人に、
  こっぴどく振られたのである。
  それ以来翔子は、恋愛に対して純粋な期待感が持てなくなっていた。

  ●一陣の風

  そんな乾ききった翔子の日常に一陣の風が吹いた。
  きっかけは、LA支店に配属される新人教育
  まかされたことにある。

  翔子の部下は23歳の営業マン鈴木武人。
  同期の中では一番優秀だという理由で抜擢されたらしい。
  確かに武人は何事においても優秀だったが、
  一度だけ大きなミスをした。

  武人がスポンサーに提示した納品日に制作側がノーを出し、大手スポンサーと人気クリエイターの間に挟まれ、
  武人は身動きがとれなくなったのである。
  翔子は仕方なくクリエイターに、
  納期を早めて欲しいと直々に頼みこんだ。
  そして軽々と要求は通った。

  実はその男性クリエイターは、
  密かに翔子に憧れていたのである。
  そんな事情を知らない武人は、
  いつしか翔子を女神のように崇めるようになっていた。

  ●首すじをゆっくりと…

  武人から見る翔子は、常にクールだった。
  しかし、ふとした瞬間に見せる憂いを帯びた表情に、
  たまらなく色気を感じることがあった。
  翔子はいつも長い髪をアップにしているのだが、
  白くて華奢なうなじに繊細で悲しげなものを感じる。
  あの…首すじに触れてみたい。
  すべらかでありながらも、
  微かに指にはりつくような湿り気を帯びているに違いない。武人はそんな夢想を繰り返した。

  「トラブル解決のお礼もかねて今度おごらせてください」
  ついに武人は、翔子を誘った。
 
  翔子は驚いた。
  部下としてしか見ていなかった武人。
  しかし、よく見れば彼の潤んだ黒目がちな瞳は無垢で美しく、反して体つきは細いながらもたくましく色気がある。

  その夜、翔子は夢を見た。

  誰かが耳元に優しく舌を這わせている。
  あごから耳にかけての線がシャープで美しい。
  見覚えのある顔…。
  彼の濡れた舌は熱い吐息とともに首すじをゆっくりとすべり、翔子胸の谷間に達した。
  「いつも見ています。服を着ていても、
  この体のライン男心を疼かせるんです…」
  男は骨ばった人指し指の先で、乳輪を転がすようにくすぐる。
  「あっ…」
  思わず声をあげて、翔子は目を覚ました。

  翌日、翔子が武人のデートの誘いを承諾したことは言うまでもない。

------------------------続く----------------------------

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