あつもの

「お金下さい！


やっぱり女子高生じゃないからダメですか！？

安くしますから！

胸触って￥５，０００　直接触るの￥８，０００

あぁ　そうなんだ。。。

触って　一緒にプリクラ撮るだけじゃイヤなんですね

おじいちゃんの気持ちワカリマス

わたしもそうですから！

ねぇ　おじいちゃんの行きたい所どっかあります？

一時間付き合って￥３，０００　二時間で￥５，０００！！

おじいちゃんの好きな所でいいデス！！」

「“おじいちゃん”やめてくれぇ！オレはまだ６４だぁ！！！」

「“おじいちゃん”じゃないですかぁ（笑）」


「あつもの」（１９９９年日本映画）
監督・脚本：池端俊策
出演：緒方拳　小島聖　ヨシ笈田　大楠道代　田辺誠一　清水美砂　杉本哲太


「完全なる飼育」の小島聖が出てるから観たんだと思います。。。

この作品では女子高生ではなく　援助交際をする女子大生

またも　豊満なボディを惜しげもなく披露しています

“おじいちゃん”相手に。。。

ってこう書くとワタシ　ただのエロオンナだわネ（笑）

だって　ついつい　それにつられて観ちゃったんだもん☆☆

でも　地味なえーがだけれど意外にヨカッタ！

小島聖のハダカが。。。

じゃなくてネ！（笑）

そもそも「あつもの」ってなんだか知ってますか？

菊　です！

マリのようにこんもりと豊麗に　雄大に　盛り上がって美しく咲く菊の事です

日本では　毎年秋になると全国各地で菊花展が開催されているようで各地の愛好家達が自慢の菊を出品します

コレにハマルと寝食を忘れて没頭してしまうらしいです。。。

菊花展では　出品者名が記載されていない番号札だけの菊が大量に展示されており　愛好家達は番号札だけ見て

「コレは××の○○さんの菊だ！」

「アレは××さんのだ！」

と　その道に通じるヒト達が見れば　誰の菊だか一目瞭然らしいです

ワタシにはさっぱりわかりません。。。

そんな菊の愛好家の一人　馬野杢平（緒方拳）は火事なんか滅多に起きない田舎町の消防署に勤務し　酒もオンナもタバコもやらず　幼い頃から菊作りに没頭してきた男です

そして全国的に有名な菊作りの名人　黒瀬玄一（ヨシ笈田）
その菊には誰しも勝つ事ができないけれど　性格は偏屈で欲深くお金に汚く　地元の同好会からも嫌われ　山奥で一人で暮らしています

幼い頃から黒瀬に勝つ事を目標としてきましたが６０過ぎても勝てない杢平と　どんな仕事をしても旨くいかず　身内　同好会と人間関係は敵だらけの黒瀬

この二人が援助交際をする音大生ミハル（小島聖）を通して再会し　お互いの菊作りの戦いは更に烈火

そしてミハルの存在は杢平と黒瀬を妙な方向に狂わせていきます。。。


「ほんとうは　お金でつれるわたしを軽蔑してるんでしょ？

そうじゃないなら　前の一列の菊から焼いてみて下さい

焼いて下さい！

わたしが欲しかったら！

ほら　できないくせに」


このえーがの魅力ってね　人間の“陰と陽”なんです

勤勉で上品な杢平だけれど　菊と消防士の事で頭がいっぱいで　情緒不安定でアルコール依存症に追い込んでしまった妻（大楠道代）に負い目を感じて生きている

黒瀬は美しい菊を咲かせる事はニッポン一だけれど　その他の人生　仕事　結婚　人間関係　全て失敗し続けている

ミハルは見事　音大に入れたものの　チェロの才能がない事など充分痛感していて　それでも親の期待は大きく　自由なお金と気晴らしに援助交際に走る

立場や世代は違っても　みんな平等に（って表現も変かもしれないネ。。。）旨くいかない人生を日々生きている

そんな心の風景を　表情や沈黙の間で感じるから　地味なハナシだけれど飽きない

ワタシ自身にこの作品の登場人物が重なるとは到底思えないんだけれど　どこか一瞬ハっ！と惹きつけられる行間を感じたから１２２分集中して観れてしまいました

しかもかなり前に観たえーがだけれど　覚えてるし！　

「えーが」ってことでは大した作品じゃないかもしれないけれど　万人ウケするモノでもないかもしれないけれど　この平凡に「生きてる」事の“陰と陽”のそれぞれの奥深さを感じる事が出来ればグっとくる作品だと思います！