- 名前
- nomiya8
- 性別
- ♂
- 年齢
- 80歳
- 住所
- 埼玉
- 自己紹介
- 気持も若い積りだし、身体もそうだと思ってましたが先日忘年会でボーリングをした時、運動...
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Maria-3
2009年06月18日 14:08
アメリカでは副社長を含め私の周りの人達は私が家内を呼びたがっている事を理解してくれたし、ある意味応援もしてくれていた。
私は元来根回し等苦手でその方面には気がきかない方です。ですから本来ならば私から日本の支社長に直接お願いし、働きかけるのが正当法だったのだと今では思うが、当時は考えが及ばなかった。
そのような訳で家内が来れるまでは色々と揉めてしまった。
その当時の日本では未だ海外へ赴任する事も、人も少なく、一般的には単身赴任が普通だった。
その事はその事とし、仕事上はいつもどおりで進んでいた。
いつもの様にQCの部屋に居た時、Mariaが小声で「一寸話があるのから休憩の時ここに居て」と言った。
私には彼女が何を話したいのか解らなかった。特別な意味で別れの言葉を交わしたいのかなとも思ったりしていた。
暫くすると10時のコーヒーブレークになった。何時もはそのまま昼食室に行って自販機のコーヒーを飲みながら他のスタッフと雑談するのが日常だったが、その時はその場に残り、他の人が居なくなるのを待っていた。
「Mさん、明日もう一度だけ何処かで会いたいの」とMariaが全員居なくなって口を開いた。
「良いけれど、何処で。無論私の家は無理だよ」と言うと「解ってる。場所は私が探すから良いでしょう?」
彼女の家には未だ小さな子供が居たので、彼女の家も無理なのは解っていた。
事実その時に迷いがあったのは事実だ。未だ新婚気分の家内に対する後ろめたさと日本と違って毎日大体定時で帰宅していたのに、どの様な言い訳を出来るだろうか。
しかしその時のMariaの言外から"どうしても会いたい"と言う語気が感じられ
「うん、良いよ」と答えた。
その数週間前頃に私の交代要員として日本から一人来ていた。そしてその時一応歓迎会なるものをして、日本人と同室の数人が同席した。
その日帰宅し家内に
「明日何人かで僕の歓送会をしてくれるから一寸帰りが遅くなると思うよ」と伝えた。
話し方がぎこちなくならないか大分緊張していたが、何の疑いも無く承知してくれた。内心"済まない。ご免ね"と思った。
当日初めてMariaと目を合わせた時"今日、大丈夫ね!"と言う様な感じの目で私を見詰めた。私は"OKだよ"と言う意味で軽く目を閉じた。
夕方終業少し前に私はQCの部屋から技術へ戻った。部屋を出る時Mariaを見ると彼女も私を見て、軽く瞬きし確認の合図をした。
技術の部屋に戻り「今日は一寸行かなきゃならない所があるので、これで帰ります」と言って、毎日一緒に帰る人達に言ってから部屋を出た。
会社はハドソンリバーに沿って建てられた大きな建物の中にあり、色々な会社も入っていたが車通勤のもの意外は同じ出口から出る。
建物を出ると昼間彼女から言われた様に、最寄の地下鉄駅をすこし過ぎた路地で彼女を待っていた。
彼女は直ぐに来て「こっち」と言って私の前を通り過ぎ歩いて行った。その辺りは未だ会社の人と合う可能性があったので、私は黙って彼女の後についていった。
2,3分程歩いてから彼女と並び「何処へ行くの?」と尋ねると「友達の家、さっき話しておいたから」
10分位歩いたか、彼女はあるアパートの前で立ち止まり、歩道から10段位の階段を上りアパートの入り口に着いた。
マンハッタンからハドソンリバーを越えたこちら側はニュージャージで、会社以外他には行った事がなく、全く知らない土地へ来た様なものだった。
彼女は入り口のドアー横にあるメールボックスの一つのボタンを押した。インターホーンで2,3やり取りするとブザーが鳴り、直ぐに"ガシャッ"とドアーのロックが外された。
中に入り直ぐの廊下を左へ2,30歩行った所でドアーをノックした。
中から返事があり、人がドアーに向かって歩いているのが解った。その足音はドアーの所で止まり、ロックが外されドアーが開いた。
そしてそこに立っていた女性を見て思わず驚いてしまった。
続く
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