さよなら　男の娘（おとこのこ）

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「ちあき～」

その声に振り返る

その視線の先に森川千春がいた

大きな声で呼ばれるのは好きじゃない

そして下の名前で呼ばれるのも好きじゃない

ただ　特殊な存在として彼女は存在している

下の名前で呼ぶのを許可した女

それに人の多いところでは気を使う

所かまわず大きな声で呼ぶわけではない



夜の店に勤めはじめてから

その可愛さは加速していた

素材レベルでかなり　わたしの好みだった容姿は

さらに好みになっていた

もし　特殊な存在でなければ

恵子さんはともかくとして

千恵子にとってかわっていたのは間違いない



最近　ちょっと衝動を抑えるのに苦労はしてる

何でもありとうたってるが

実はレイプ、3Pは当時未経験

レイプに関しては　一応　いまだ未経験だし



ログを最初の頃から見てる人は知ってると思うが

何故　彼女が特殊か？

それは　あえて彼女と呼んでいるが

正式には彼と言うのが正しい



そう　森川千春は　ニューハーフだった

男とえっちする気はない

が、なぜ　デートたぐいをするか？

それは　可愛いからだ

可愛いのだから　キスくらいはする

ここで言い切る　可愛ければ

男でも　女装してなくても

わたしは　キスをする

ついでに　いい反応をしてくれれば

軽い愛撫くらいはする



「ん、ちあきのキスって好き」

千春はそう言って身体を預けてくる

耳元にキスをして

反応を見ながら身体を指先でなぞる

「ああん　　」

ファルセットの出し方が色っぽい

声と着衣姿だけだったら　誰も気づくまい

現に　脱がすまで　田村も松山も気づかなかった

わたしとて　キスをして

股間に脚を差し込むまで気づかなかった

胸はすでに豊胸手術をしている

そして感度は良好

男の胸も感じることは感じると言う

恵子さんに弱点責めをくらい

過敏モードになったときに経験済み

男の身体も女性同様の性感帯はある

千春のスカートに手を差し込む

何回触っても

自分より立派なそれは腹だたしい

「あん、出ちゃう、、あっ」

手の中に出されたそれをふき取る

そして下着を着替えさせて

何事もなかったように路地に戻る

口でしてあげようか？

そう言われもする

実はして欲しいのだが

それをしたら　なんか一線を越えそうなので

どうしても首を縦に触れなかった

千春も明るく振舞いながらも

それに気づいていたのだろう

これ以上は　わたしからは何もない

好き、恋人のような立場

そして放出をさせてくれる

そしてニューハーフと知っても

デートしてくれる存在



今に思えば　千春は

他の女の子たちのように

受け入れたかったのだろう



ただ　それは　絶対に望めない

それに気づいたとき　

千春の求めるものは大きくなった

手に入らないとわかったとき

それに対する想いは大きくなる


「ねえ　本気で聞いていい？」

「なに？」

「わたしを好き？」

「好きだよ」

「愛してる？」

「愛してない」

「、、、理由は？」

「男だから」

「じゃなんでキスとかするの？」

「可愛いから」

「、、、あなたの感覚って」

「理解しようとするなよ」

「、、、、、」

「人とずれてるから」

「、、、、うん」

「今以上が欲しい？」

「欲しいよ」

「今以上は　ないとしたら？」

「つらくなる、、、」

「耐えられる？」

「無理、、、、」

「答えは出てるね」

「、、、、、、」

千春の頭に手を置く

「、、、ちあき、、、、」

千春の髪をくしゃくしゃとする

泣いてるのがわかる

ただ　もうこれ以上はない

そして　それ以上を欲した

わたしは　それに応えられない

それが答えだった

駅まで送り

終わりを告げた形になったにも

かかわらずなんとなく必要な気がして

千春を抱き寄せ　キスをする

千春も拒まなかった

無理のある笑顔

泣き笑顔を作りながらおじぎをする

そして　改札の中から大きな声で

何かを叫んだ

わたしは小さく手をふる

何かじゃなくて聞こえてたよ

ただ　意図して流した

愛してるって言葉に

返せる言葉はないから

この時代の3つの柱ともいえる

その3つのうちの2つめが終わった

そして　最後のひとつも

終わりが近づいてることに気づきもしなかった