夜の公園で。目の前をのぞきが…

大昔.大学の帰りによく皇居外苑でﾃﾞｰﾄをした｡ｷｬﾝﾊﾟｽが御茶ﾉ水で東京駅で乗り換えて自宅に帰るので都合良かったし､盛り場に寄るにはお金もなかった｡日比谷公園などと比べてｽｯｷﾘした造りが気に入っていたしね｡比較的まばらに樹木が植えられ､一面芝生の園内を遊歩道がうねり､面してﾍﾞﾝﾁが等間隔に置かれていた｡それが､夜はｱﾍﾞｯｸのﾒｯｶに変わる｡ただ､昼休みもｱﾍﾞｯｸは多かったし､広大な割に人影の多いとは言えない園内が二人だけの世界を演出するには最適だったのかもしれない､自分達二人も､授業をさぼって仲間の遊びの輪にも加わらず､少し明るいうちから､人影もまばらな公園のﾍﾞﾝﾁで二人きりなった｡とにかく二人で､難しい話から他愛もない話まで何でもおしゃべりしていることがただただ楽しかった｡段々日が落ち､そのうちにﾍﾞﾝﾁのｶｯﾌﾟﾙが増え始める｡すると遊歩道を歩く人達も増え始める｡それがなぜか一人だけの｡そこはどの駅に通じる場所でもなく盛り場も近くにない｡会社の帰り道に通る場所では絶対にない｡だから夕方に一人で人が歩くなんて有り得ない｡実はそれ､みんな覗き…