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本当は怖い童話 その2(前編)

2008年03月18日 01:45

本当は怖い童話 その2(前編)

今日は本当は怖い”ヘンゼルとグレーテル”です。







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 大きな森のそばに、ひとりの貧しいきこりが住んでいました。
 きこりには、何も食べる物がありませんでした。
 
 おかみさんとヘンゼルとグレーテルというふたりの子供のための、
 その日その日のパンさえろくにありませんでした。

 ある時、それさえも手に入れることができず、
 どうしようもなくなりました。
 夜、心配のあまり寝床でごろごろ寝返りをうっていると、
 おかみさんが言いました。

 「ねえ、おまえさん。明日早くふたりの子供を連れてお行き。
  それぞれにあと一切れずつパンをやって、
  森へ連れ出すのさ。木が一番生い茂った森の真ん中へね。
  そして、火を起してやったら、そこを離れて
  ふたりを置いてけぼりにすればいいよ。もうこれ以上ふたりを
  養ってはいけないもの」

 「なにを言うんだい、おまえ」

 きこりが言いました。

 「自分の可愛い子供を森のけだもののところへ連れて行くなんて、
  そんなことできやしないよ。すぐに子ども達を八つ裂きに
  しちまうよ」

 「おまえさんがそうしないんなら、わたし達はみんな一緒に
  飢え死にするしかないよ」

 おかみさんきこりをうるさくせめたてたので、ついにきこり
  承知しました。

 ふたりの子供たちもお腹がすいてまだ眠れずにいたので、
 母さんが父さんに言ったことをみんな聞いてしまいました。

 グレーテルは、もうおしまいだと思って、悲しそうに
  泣き出しました。

 けれどもヘンゼルが言いました。

 「静かに、グレーテル。めそめそするのはおよし。
  僕がなんとかするから」

  そう言うとヘンゼルは起き上がり、上着を着て、くぐり戸を
  開け、こっそりと外へ出ました。

 外は月が明るく照り、白い小石がまるで銀貨のように
 輝いていました。
 ヘンゼルはかがんで、上着のポケットに入るだけの小石を
 詰め込むと、家へ戻りました。

 「元気をお出し、グレーテル。そしてゆっくりとお休み」

 それからヘンゼルはまたベッドに入って眠りました。

 朝早く、まだ日も昇らぬうちに、母さんがやってきてふたりを
 起しました。

 「さあ、ふたりとも起きるんだ。森へ行くんだよ。
  パンを一切れずつあげるからね。だけど、ちゃんと考えて、
 食べないでお昼に取っておくんだよ」

 へンゼルのポケットには小石がたくさん入っていたので、
 グレーテルがパンを前掛けにくるみました。
 それからみんなは森の中へ入って行きました。

 しばらく歩いていくと、ヘンゼルが立ち止まって、
 家のほうを振り返りました。

 すこしするとまた立ち止まっては振り返り、立ち止まっては
 振り返りました。

 父さんが言いました。

 「ヘンゼル、立ち止まって何を見ているんだい。足元を良く見て、
  さっさと歩くんだ」

 「だって父さん、僕の白い子猫を見てるんだよ。屋根の上に
  座って、僕にさようならをしているんだ」

 すると、母さんが言いました。

 「ばかだね。あれはおまえの子猫なんかじゃないよ。朝日煙突
  照り付けているのさ」

 けれどもヘンゼルは子猫を見ていたわけではありませんでした。
 その度にピカピカの小石をひとつずつポケットから取り出しては、
 道に落としていったのです。

 みんなが森の真ん中までやってくると、父さんが言いました。

 「さあ、薪を集めておいで。こごえないように火を起こすから」

 ヘンゼルとグレーテルは小枝を集めてくると、小山のように
 積み上げました。

 それからその薪に火がつけられ、炎が燃え上がると、母さんが
 言いました。

 「さあ、火のそばに横になって寝ていなさい。父さんと母さんは
  森の中へ行って木を伐ってくるからね。
  おまえたちを連れに戻ってくるまで待っているんだよ」

 ヘンゼルとグレーテルは火のそばに座りました。
 昼になったので、それぞれのパンを食べました。

 それからまた、夜になるまで待っていました。
 けれども父さんと母さんは戻ってきませんでした。

 誰もふたりを迎えにやって来はしませんでした。

 いよいよ真っ暗な夜になると、グレーテルが泣き出しました。
 けれどもヘンゼルが言いました。

 「月が昇るまで、もう少し待つんだ」

 そして月が昇ると、ヘンゼルはグレーテルの手を取りました。

 小石が真新しい銀貨のように輝いて、ふたりに家への帰り道
 教えてくれました。
 ふたりは夜どうし歩きました。そして朝がくると、父さんの家に
 戻ってきました。


          ― 後編に続く ―
 

 

 この”ヘンゼルとグレーテル”も子供向けに原作に手が
 加えられているといわれていますが、原作については
 今のところはっきりわかっていません。

 オモテログではこの”ヘンゼルとグレーテル”をはじめ
 世の中に多くの童話を排出した”グリム兄弟”の生い立ち
 等を載せましたのであわせてお読み頂ければ幸いです。

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