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「すばらしき世界」レビュー☆

2021年03月03日 00:01

「すばらしき世界」レビュー☆

役所広司主演他。この世界は生きづらく、あたたかい。下町の片隅で暮らす三上(役所広司)は、見た目は強面でカッと頭に血がのぼりやすいが、まっすぐで優しく、困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯だった。社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンの津乃田(太賀)と吉澤長澤まさみ)が番組ネタにしようとすり寄ってくる。やがて三上の壮絶な過去と現在の姿を追ううちに、津乃田は思いもよらないものを目撃していく・・・。一度レールを外れても、懸命にやり直そうおとする実在の男をモデルに「社会」と「人間」の今をえぐる問題作

8/10点!!西川美和監督の遠慮無く深く抉ってくる作風が好きです。本作は「あれ?いつもみたいにこないな」と思っていたら、本当に最後の最後でグサッと深い一刺しを食らいました。物事は悪い方へ転がる時も良い方へ転がる時も一気で、止めることは叶わず、人生は転落の連続です。この不条理な世界に適応するということは、心が砕けてしまうほどに苦しく、果たしてその価値があるのだろうか?と非常に重たい余韻を投げかけられました。三上正夫という元ヤクザ犯罪歴だらけの人物は、社会的にみたら、どうしようもないほどにキレやすく、手っ取り早い手段のみを取りたがり、その過程で人を傷つけても、自分の信念に反していなければ、反省すらしない。でも、そんな彼が、偏見の目で見ていた津乃田らの心を揺さぶり、涙を流させる。極妻キムラ緑子)は彼を救いたいと必死になり、十年の時を経ても親身になってくれる女性安田成美)だっている。最終的に三上は、三上を中心に囲めるほどの味方を得るのだ。そんな一筋の希望を必死で掴もうとしている彼が、目と耳を塞ぎ、正しいことを素通りしなければならない世界が、果たして正常といえるのだろうか?クライマックスの太賀の演技が素晴らしく涙を誘います。激しい雨風に必死に堪えるタンクトップは見事の一言。勿論、暴力に訴えるのは絶対に間違っているけれど、弱者を守ろうとする術を奪われ、黙るように黙殺される世の中も絶対に間違っている。そんな憤りをなかったことにしてはいけない、自分を守るように他者を守ることを諦めてはいけない、三上の生きざまにそんな根本的なことを忘れるなと言われているように感じました。やはり、西川作品は時間が経てば経つほど深く抉る余韻が凄まじいです。2021年公開。

このデジログへのコメント

  • はらぺこ 2021年03月03日 00:26

    この作品は、、観たい(о´∀`о)

  • ユリ 2021年03月05日 04:18

    > はらぺこさん
    西川作品は今年絶対に見逃してはいけない作品TOP10ですね☆ぜひぜひ。

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