馬鹿な友達③

私が、友達の偽装結婚を通報した事によって、彼は、話を持ち掛けてきた知人やブローカーから責任を追及される事を恐れていたが、

私にはブローカーがおとなしく手を引くだろうとの確信があった。

プローカーからすれば、既に成立させてしまった偽装結婚を合法に見せる為の工作に精一杯だろうし、
多少なりとも知恵があれば、この期に及んで友人を追い込む事は自分の首を締めるだけだと分かる筈だから。

しかし、面倒なのは、ブローカーを紹介した“半汚れ”の輩だった。

まさしく“半汚れ”なだけに司法をナメていて、友人を民事裁判で訴えてきた。

実際に渡航にかかった費用を誰が立て替えたのかは不明だが、
恐らく、ブローカーが手を引いたので、独断で友人から渡航費を回収しようと考えたとおもわれる。

慌てふためく友人に「支払う義務は無い」と説明しても、法的に対抗する知識の無い彼を見放す訳にもいかず、
答弁書やら陳述書やらの作成をする羽目になったのでした。