野心

俺は人よりも野心家だ。特に仕事に関しては誰にも負けたくないし、他の誰よりも出世したいと思っている。そのための頑張りもあって、今はそれなりのステータスをもらった。

入社したころからそういう気持ちが強かった。たぶん、相当な負けず嫌いだと思う。仕事が充実していることが前提で、その前提をクリアしているからこそプライベートも楽しめるというタイプだった。

それだけに、仕事はそこそこで良くてプライベートが大事という人達のことが理解できなかった。上記の言い方でいうと、仕事は生活の一部で、プライベートがメインという考え方。

そんな人達と仕事してると、自分もなまってしまいそうですごく嫌だった。見習うところなんて全くないぐらいに思っていた。しかし、ある上司と出会って、そういう考え方もありかなと思うようになった。

その上司は能力はあるのに、出世するための努力はせずに、仕事の中で興味のある部分だけに取り組んでいた。そして、部下の面倒をよく見てくれて、自分の成果も部下にあげるぐらいの上司だった。

最初は、その上司からは見習う部分がないと思って、議論の時もちょっときつい口調で話したりしていたが、その上司は何でも受け入れてくれて、いつもポジティブな意見をくれた。

同じ喫煙仲間だったから、喫煙室でよく話をしていた。仕事の事もプライベートのことも。仕事から離れて話すと本当にいい人に思えた。でも仕事がね～って思ってたけど。

ある時、喫煙室でその人と雑談していると時に仕事についての考え方の話題になった。その時にその上司が言っていた。


　　「出世は興味ないんだよね。自分が定年退職した時に、これまでの仕事に意味を持ちたいし、
　　　退職して会社という鎖がなくなった途端に、誰も会ってくれないなんて寂しいからね～」


仕事がプライベートの一部という考え方が甘いと思っていたが、それは考え方じゃなくて生き方なんだなって気づいた。良い悪いの次元ではないと思った。

それに対して、俺の生き方は？・・・人より優れた成果を出して、人よりも出世する。・・・急ぎ過ぎてるのかな。いつもいつも駆け足で生きてる気がする。ちょっとはゆっくりしようかなと思う時があっても、人より急いでしまう。確かに、どれだけ頑張れば終わるんだろうと弱くなることもある。

本心はというと、やっぱり出世はしたい。でも、たまには立ち止まってゆっくりと考え事もしたいんだよね。自分のやってきたことも褒めてあげたいし。あんまり無理すんなよって言ってあげたい。

まだまだ生き方って言えるほどの仕事してないのかもなー

明日も頑張ろう！！