- 名前
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- 「元」がつきますが一応プロの小説家。現在、 カムバック目指して修行中です。 そんな私...
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御用だ誤用だ! その3「アリエナーイ」
2014年12月20日 21:41
(「言葉の意味は時代と共に変わっていく」については「その1」をご覧下さい)
まず具体例から。
昔、JR西日本が大規模な事故を起こし、多くの死傷者を出しました。
現場の光景は悲惨なものでした。あの事故では多くの遺族が泣いていました。
そんな現場に、JR西日本の社長がやってきて。
「我が社の安全管理は完璧。事故なんてあり得ない」
と言ったらどうなるか?
遺族は怒り狂うでしょうね。そしてこう言うでしょう。
「実際に事故を起こしてるだろうが! 目の前で現実に存在してるってのに、
何が『あり得ない』だ! JR西日本の事故は、『あり得る』だ!」
これ、どこか間違っていますか? 私は全面的に正しいと思います。
すなわち。
今、目の前を歩いてる、変な髪型の人を指さして、
「あり得ない髪型してる!」
「あんな髪型、あり得ないよね~」
こういうのは全て、上記のJR西日本社長と同レベルってことです。
事故現場を指さして「事故はあり得ない」と同じでしょう?
現に「あり得てる」ものに対して、「あり得ない」と言ってる。完全な矛盾です。
今まで見た中で一番酷かったのは、ある大学のサークルの、勧誘ポスター。
「ウチのサークルには、あり得ない奴しかいません!」
……そのサークル、この世に存在しているのか? 在籍者は生きてる人間か?
この指摘について、予想される反論はこうですね。
「『常識的に考えればあり得ない』という意味であり、例えばそのサークルなら、
非常識な奴しかいません、という意味。非常識な人がたくさんいるということだ」
はい。わかってます。
このポスターを書いた人の真意はそうでしょうね。でも誤用は誤用です。
警戒すべき、信用できない人のことを「気の置けない」と表現してるのと同じ。
人を甘やかしてはいけない、のつもりで「情けは人の為ならず」と言ってるのと同じ。
そもそも。
「常識的に考えればあり得ない」の省略形として「あり得ない」が許されるのであれば、
上記例のJR西日本社長は責められませんよ。
社長は当然ですが、あの事故で亡くなった本人だって、「常識的に考えて」事故は無い、
と思っていたのですから。事故が起きると予測できてる電車に誰が乗りますか?
事故当日の朝、電車に乗る前にインタビューしてれば、
「脱線事故? いやあ、そんなのあり得ないでしょ」
というような態度ですよ。誰だって。
でも事故が起こった後、つまり「あり得た」後なら、上記の例で示した通り、
「あり得ないなんて言うな! キッチリガッチリ明確に明白に、あり得てるだろうが!」
と、なるでしょう?
どのように思っていようがいまいが、既に「あり得た」ものに対して「あり得ない」は
間違った表現です。「常識的に考えてあり得ない」と言いたいのであれば、
省略せずにきちんと「常識的に考えて」をつけましょう。
省略さえしなければ、さっき怒ってた遺族さんですら、
「ああ! 常識的に考えれば、こんな事故はあり得ないのに! だから、
何の心配もなく今朝、息子を送り出したのに! こんな非常識な事故が起きるなんて!」
と、すんなり「こんな事故はあり得ない」というセリフを使えるのですから。
☆☆念の為に☆☆
例に出したJR西日本社長は、あくまでも例え話であって、
実際にそういうことがあったわけではありません。
このデジログへのコメント
「それは、ナイよね~」「ナイナイ」は
「有り得ない」の略なのかな?「ダメでしょ~」って意味ですよね
> eriさん
「そんなこと普通はし『ない』」とか、「それは私の好みに合わ『ない』」の略だ、
とも主張できますからね。私としては、それも嫌いな言い回しなので使いませんが、
誤用呼ばわりはしません。
私もよく「あり得へん」っていいますょ~
本来、こんなことは起こるはずはないっていう意味でw(´∀`)
> はぎんちょさん
むーん。本文の通り、私も「言ってる人の真意」は理解してるつもりですけどね。でも、どーにも。
まぁ第一回に言いました通り、現実にはこんなこと言ってませんので。ここだけの話です。
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