男のロマンと女の食欲

画像は、ジャッキー映画の中では「木人拳」と並んで双璧としているほど
私の大好きな、「笑拳」の１シーンです。

私ぁですね。ジャッキー映画といえば。
漢字タイトルで、山中が舞台で、老師の下で修行をする、
古い汗臭いカンフーアクションが断然好きです。

片仮名タイトルで、街中を舞台にして、銃を撃ったりする作品は、
あまり好きではありません。

だって。
見て下さいよこの画像！　どーです！　この鍛え抜かれた体！
シュワルツェネッガーなどに代表されるボディビル筋肉とは明らかに異質な
（あれはあれで見栄えはしますが）、無駄なくギュッと引き締められた肉体美！
そこから繰り出される、鋭く磨き抜かれた拳法に、銃なんて無用ですっ！　

ジャッキーに銃とか持たせるのは、無粋であると言わざるを得ない！
あと、車とか高い建物とかを使った派手なアクションもいらんっっ！　
汗の飛沫と砂埃が舞い散る、殴り合い蹴り合いだけで充分っっっっ！
そこに石丸博也さんの「ていやぁ！」があれば、何も言うことなし！

……と、まあ。
わかってます。年寄りは古いものを、もっちゃげるもんですから。
懐古趣味です。自覚してますから。ええ。
派手なアクション、凄いなぁと感服はしてますんで。お許しを。
（ジャッキー本人も、そういうアクションが好きみたいですしね）

さて。
私が小学生の頃、と言ったらもう３０年ほど昔になりますが。
当時は夜の９：００～１１：００の洋画劇場とかで、頻繁に放送してたんです。
漢字タイトルの、ジャッキーのカンフーアクションを。
前述の２つの他にも、酔拳や蛇拳など。あの時代、男の子たちの憧れでしたねえ。

で。当時の私は。
過去ログ「『人並』自慢」で紹介しましたように、最初のきっかけは
母の勧めでしたが、小学２年生から少林寺拳法を習い始めたんです。

もちろん！
頭ん中にあるのは、そりゃもうジャッキーですよ。ジャッキーごっこですよ。
突き、蹴り、そして組演武（二人で打ち合う型練習のことです）、
懸命に修業しました。

で、最終的には。
ジャッキーみたいな跳び蹴りとかバク宙とかは無理としても、ですよ。

地味～な突き蹴りを、型に従って打ち合うだけなら、「パパパパン！」と
音を立てて、映画の中のジャッキーみたいなスピードで
やれるようになりました。
これは自分の感覚だけでなく、同期の仲間のを見てても同じでしたから、
間違いないです。嬉しかったですよぉ。

しかし。
そんな「ハイレベル・ジャッキーごっこ」に至るには、もちろんいろいろ、
辛いことがありました。その一つが鏡開きです。

鏡開き。
ご存じでしょうが、要するに皆でぜんざいを食べるんです。これを、
少林寺の道場でも毎年やってましてね。
私、小豆が嫌いなもんで、当然ぜんざいも嫌い。しかし、全員参加の行事なので、
食べないわけにはいかず。我慢して流し込んでました。

それを聞いた、私の幼い妹が。
「おにいちゃんだけ、たべるのずるい！　わたしもたべたい！」
「私は食いたくて食ってるんじゃないんだが……拳法習ってると、強制的にだな」
「じゃあ、わたしもならう！　おかーさーん！」ﾄﾃﾃﾃ
「って、おい！」

という経緯で。
ジャッキーに憧れる私と、ぜんざいを食いたい妹が、２人そろって道場通い。
男のロマンと女の食欲な兄妹拳士でしたが、結局そのまま二人とも、
黒帯を締めるまで続けることができました。

人間、事を始めるきっかけってのは、いろいろあるもんです。


☆☆なお☆☆
受験勉強を理由に道場通いをやめた時には、私は２段で妹は初段でした。
一応、兄の威厳っ！

☆☆そして☆☆
このログを書くにあたり、久々に少し、古いジャッキー映画を見返しましたが。
この歳になっても、木人拳や笑拳の主題歌である「ミラクル・ガイ」や
「クレイジーモンキー」を聴くと血が湧きたちます。

ジャッキーの雄姿を胸に、道場で仲間と共に修行に励んだ、少年時代が蘇ります。

男ってのは、いくつになっても、こんなおっさんになっても。
心の中は結構たくさん、男の子なんですよ。

そしておそらく、分野こそ違えど、女性も同じなのでしょうね。
女ってのも、いくつになっても、おばさんになっても……