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こんな父親ってどうよ!?

2013年03月13日 00:42

こんな父親ってどうよ!?

別居している娘がいる。昨年、彼女は大学を卒業し、今は国立大学大学院に進学し、美術史を研究している。昨年、7月製本された大学の卒業論文を郵送してきた。何度も繰り返し読み、美術については全くの門外漢ながら、渾身の力をこめてその卒論感想をメールした。四百字詰め原稿用紙にして十枚足らずだが、ケータイで書いた。送る側はともかく、この長さのメールをケータイに送りつけられた娘も迷惑に思ったことだろう。大学院に進学し、次のステップに進んでいた彼女には、卒論は越えるべき過去のもの、あるいは、越えてしまった過去のものだったに違いない。

 このメールを書くことで、精神的に死に体だった私は立ち直ることができた。だから、娘に感謝しなければならないだろう。以下は彼女に送ったメールの全文である。どうしようもない、最低な男親かもしれない、とあらためて本心で思う。

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 今回は、具体的に記述に沿って感想を申し述べる。指導教師以外にここまで読みこんだ者はおらんだろうて。

 では、友達はどうか?友達と言えども、付き合いきれんでぇ、えっこんなこと考えとったんやぁ!、という領域がある。日常の肌を接するような濃密な関係の外部にあるのが、こうした領域な訳である。さらに、近親者にいたると、血縁意識による濃密な関係意識は、この領域について全く理解できないから、得体のしれない不気味ささえ感受するようになる。

 この領域とは、知識を指している。知識は対幻想の領域において、外部であらざるを得ない、というのが本質である。一体どれだけの人がこの論文を読み込んだんだろう、というところから連想した前置きは、ここまで。

  ワシも大概アフォやと自認せざるを得ん頭の持ち主(卑下してるんじゃなく素直にそう思う)が、無脳を酷使して感想を申し述べる。本論文オリジナリティであるが、そもそも大学の卒業論文にどこまでそれを要求できるのか、がわからん。60年代から発行されておった吉本隆明編集の「試行」という雑誌を購読しておった。掲載基準は必然モチーフに基づき自力で書かれたある一定の水準を満たした表現、だったと記憶している。原稿料なんか出ないのに大学教師も寄稿しとったな。「アングロ・サクソン社会の共同体的構成」という論文があった。殆ど理解できんかったが、ある時期に限定したイギリスの社会構成について論じてることだけは理解できた。まっ、こう見えても論文は読んどるんよ。教育者ではないが、つらつら考えるに、学校で評価する基準も自力でどこまでテーマを追求したか、にかかってると思う。

 本論文をワシが評価するとすれば、マイセン磁器の歴史を権力と富の視座から丹念に再構成している、マイセン創窯から第三帝国までを論じたところまでである。学校が評価したところも同じではないかな?前にも書いたが、設定した課題に自力でたどり着こうとしている労働の軌跡がちゃんと残ってるから。

 では、「4‐3ヨーロッパにおける磁器とは」は、どう評価すべきか?ここは評価できない。それまでの記述を結論としてまとめてるとは言い難いからである。ご本人曰わく結論への導入が暴力的とのことであるから、そこは自覚してるのだろう。では、なぜ、結論を暴力的に導入せざるを得なかったのか?

 恐らくこういうことではないか。マイセン磁器をめぐるデザイン、そして権力と富への欲望の三つの要素が時間性という縦軸と空間性という横軸に絡みつき錯綜した織物を織り上げてきた。織物を完成しなければならないが、うまくまとめるための持久力が尽きかけている。そこで一気にちゃちゃっとまとめたところで、遂に力尽きてしまった。比喩的に言えばこんな感じではないかな?ここのところは、後でさらに詳細に申し述べる。誤解無きよう願うが、細部の欠点をちまちまあげつらって、優越感にどっぷり浸かることで、父親としてのいたらなさを補償したいのではない。2ちゃんねる投稿者みたいなねじ曲がったエネルギー、ワシにはないんよ。

 さて、意味の辿りにくいところが数カ所あったので指摘しておく。達意の作文って難しい。伝えたい事が正確に伝わらないんだな。読み手の読解力によっては誤読、さらには曲解だってありうる。作文難しぃ~!

2-2 P10 5行目「近代ヨーロッパにおける市民には……明確な定義はない。」

 ここは以下のような意味だと思う。

 近代ヨーロッパにおける市民に明確な定義はない。当時、ヨーロッパ全域で呼ばれた市民とは、特定の階級や社会階層を指示した名称ではなかったからだ。

 ところで、本論文には階級という概念が頻出する。資本主義社会を構成する二大階級ブルジョワジープロレタリアートは、生産関係によって分かたれている。生産手段を持つ層と労働力しか持たない層として。マルクス主義教科書にはそう書かれていた。しかし、この定義、階級の定義かぁ?社会階層を定義付けるひとつの方法でしかないんじゃないの?階級階層はどこがどう違うんか。ってなワシのなが~きに渡る疑問を軽やかに飛び越え、薫は無造作階級って言葉を連発した。久々に新鮮な思いでこの言葉を目にした。高校世界史教科書でも無造作階級って言葉使ってるから仕方ないけどね。

 で、考えた。例えば資本主義社会における二大階級ブルジョワジープロレタリアート階級闘争媒介しない限り、単なる社会階層のひとつでしかない。では、階級闘争とは何か?それぞれの階層利益を国家意志に反映させるために繰り広げられる抗争だ、と定義づけられる。ここで、国家は、階級間の利害の形式的調停者として独在する。

 書いてて虚しくなるなぁ。なぁ~んも新しいこと言うてへんし。次に進む。

2-2 P10 末尾行「裕福な市民階級が……新興ブルジョワ階級に迎えられたのである。」

 5行目で市民を明確に定義付けられない、としながら、ここでは市民を新興ブルジョワ階級としてはっきり規定している。どう好意的に受け取ろうとしても、矛盾した記述で困惑する。多分、これは、参考にしたそれぞれの文献の用語や歴史観が統一されていないことの直接的反映ではなかろうか?つまり、Aさんの文献とBさんの文献の矛盾がそのまま記述されてるということではないか。

2-2 P11 8行目「ワーグナーが……力は及ばなかった。」

 ここは、すんなり理解できなかった。しかし、「精力的に行ったことはよく知られているが、」で後に続く文を否定してるから、二人の結び付きがミュンヘン市民芸術の発展に寄与しなかったことがわかる。テニヲハがちっとばかし拙い。ワシなら「力を及ぼすことはなかった。」とするとこである。

 誤植ありました。
P11 8行目 勢力的→精力的が正しい

 4-1までは、口を差し挟む余地がない。特に、「3マイセン磁器の転換期」は、モダンデザイン運動に関して記述されてるが、ここは一番得意とするところではないかと思う。美術的感性に基づいた対象の描写というか、対象のデザイン性の表現と言うべきかわからんが、巧みなレトリックである。
3-3 P18 1行目~

「このデザイン思想は、……装飾性が混在しているのである。」

 図版を見ると、確かにその通りだと思う。とにかく、美術については全くの無知なんで啓蒙される事大であったことを付け加えておく。

4‐3 P23 3行目~

 先述したが、この結論はそれまで積み上げてきた丁寧な論述を裏切っている。素人のワシが読んでも唐突な結論と指摘する他ない。先述したように、対象を追求する持久力の限界点に到達した事がこの結論によく示されている。でも、なんぼなんでも、磁器への欲望は唯一性への志向であり、大衆がファシズムを支持する事と同根だというのは受け入れ難いよ。これじゃあ、磁器に限らず、希少で高価な贅沢品は全てファシズムに関連付けられるではないか?第一、みんなが憧れ、欲しがる、世界でたったひとつしかないものは、同一化の対象なのか?さらに言えば、君は本当にそう思ってるのか?磁器を手に入れ、飾りたいと思わんかい?その欲求はストレートに巨大で絶対的な権力の出現の待望を志向すると思うんか?が、問われてると思う。

 単純な権力論として結論付けられることによって、逆に磁器をめぐる欲望が錯綜した権力構造の所在を示しているのかもしれん。君の論述をたどれば、磁器をめぐる権力の有り様は一筋縄では括れんということがよくわかる。

 以上、長々と失礼しました。
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