【亀田】判定についての解説

　プロボクシングの判定基準は以下の４つ。

１）ダメージを与えた有効打の数
２）攻撃の手数
３）ディフェンス能力（攻撃に繋がらない亀状態除く）
４）戦況の支配（クリーンさ、クレバーさなど）

　これに基づいて、ラウンドごとに７～１０点の採点をつける。
　互角なら１０−１０、ちょっと優勢/劣勢があるかな？だと１０−９、ダウンがあったりで情勢がハッキリしていたら１０−８、もうグロッキー状態で何もできないとかなら１０−７で採点される。
　ちなみに９−９などのジャッジは反則による減点が無い限り存在しない。


　で、１２ラウンドなので満点が１２０点。
　採点は115-112　113-115　113-114だった。

　亀田が115点を取るためには、どれだけのファイトが必要か。

　確実に計算できるものとして……ダウンを喫した第１ラウンドが「８」
　あとフラフラ状態でクリンチ（相手に抱きついてパンチを封じること）に逃げるしかなかった１１ラウンドも「８」だろう。

　この２ラウンドで−４だから、６−４＝２で他１０ラウンドで−２だったことになる。

　一方のランダエダは113だから−７点。
　つまり９ポイントのラウンドが７つあったことになる。（展開から考えて８採点は無かったはず）

　以上からラウンド採点は以下の通りが確定。

　ラン−亀
　１０−８　が２つ。
　１０−９　が２つ。
　　９−１０が７つ。
　１０−１０が１つ。


　つまり、第１ラウンドと第11ラウンドが亀田ピンチだったけれど、全体の半分以上の７ラウンドは亀田優勢だったというジャッジになる。

　では、実況席が何と言っていたか思い出してもらいたい。
　本当に亀田優勢として実況していたか？
　特に終盤はもう破れかぶれでいいから手を出せみたいなことを言っていたのを覚えていませんか？

　そう、実況アナも解説者も、判定になれば亀田が負けるだろうと思っていたからに他ならないからだ。
　実際に試合展開はランダエダが優勢だった。少なくとも半分以上を亀田に支配されるような展開ではなかった。



　では、このジャッジは何だろうか。
　ボクシングの世界では、誤審というものはあまり無い。
　ラウンドごとのジャッジはそのラウンドが終わってのインターバル中に書き出されるので、終盤の印象で序盤のジャッジが歪むということがないからだ。

　となると、不可解なジャッジは全て意図的なものだということになる。
　ホームタウンエディションという言葉がある。
　要は地元の熱気に押されてついジャッジが偏ってしまうというものだ。
　人間であるからそういう心理的圧迫はあっても仕方が無いかもしれない。けれど今日のは極端すぎではないだろうか。

　今までと違って今日は世界タイトルマッチという大舞台。
　もちろん相手方のベネズエラ国民もＴＶで観ていただろう。（時差で朝だが）
　もしかしたら全世界に中継されているかもしれない。

　それでこの判定。
　どうみても亀田の負けだった。

　日本はお金持ちの国だ。
　これで審判を買収したと思われても仕方が無い。
　買収したのが誰にせよ、日本人として恥ずかしくないのか。（最も得をしているのは中継するＴＢＳだが）
　そんなタイトルのどこに価値があるのか。



　いろんな人のデジログを見て回ったところ、試合に感動したというニュアンスが多かった。
　けれど騙されないでほしい。
　スポーツの発展は、観客の目も重要だ。
　小手先の卑怯な手段で作り上げられたスターをありがたがっていては、ボクシング界に未来はない。

　そして今回の一件で、ボクシングというスポーツは見切りをつけられただろう。
　世界タイトルマッチでこんなことをするのでは、この種目そのものが腐っているようなものだ。

　亀田人気が終わったとき、嫌気が差していたボクシングファンはどれだけ残るだろうか。
　同じＴＢＳ格闘技番組として肩身が狭くなっているＫ−１は元の地位を取り戻せるのか。
　「亀田祭り」に押し出されて12/30に鞍替えさせられたレコード大賞の立場は？

　確かにこれだけの視聴率を稼ぐ亀田兄弟は凄い存在なのだろう。
　だがそのブームが去った後、何も残らないのではないか。

　目先の視聴率は大事かもしれない。
　けれどＴＢＳは番組コンテンツをしっかり育てることを考えてもらいたい。
　メディアが清原をありがたがってプロ野球を潰しかけたように、亀田もまたボクシングひいてはスポーツ全体を揺るがす死神なのかもしれない。


　問題は防衛戦。
　実力がまったくないわけではないとは思うので、ここでガチンコファイトで防衛すればそういうのは払拭できるだろう。
　その意味で期待している。

（そういえば「ガチンコファイトクラブ」なんてヤラセくさい番組やってたよなＴＢＳ）